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日本でも販売へ!――ソニーの有機ELテレビ「A1E」を見てきたCES 2017

» 2017年01月06日 00時01分 公開
[山本敦ITmedia]

 2017年も米国ラスベガスで世界最大級のエレクトロニクスショー「CES」が開催される。プレイベントが実施された1月4日(現地時間)に、ソニーがプレスカンファレンスを実施して、北米市場で2017年中の発売を予定している“有機ELブラビア”「A1E」シリーズを発表した。既報の通り、時期は未定ながら日本国内での販売も予定されている注目株だ。

ソニーが大画面有機ELテレビを遂に商品化!ブラビア「A1E」シリーズとして2017年にグローバル展開を予定する

 このほかにも4K/HDR対応の液晶“ブラビア”新製品として「X94E」「X93E」の2シリーズが発表されている。それぞれにどんな“ソニーの最新テレビ”なのか、現地で発表された製品を取材して分かったことをまとめてみよう。

上質な画と音の両方にこだわった

 A1Eシリーズは、ソニーが満を持して商品化を実現した4K/HDR対応の大画面有機ELテレビだ。北米での具体的な発売日や価格については発表されていないが、ディスプレイのサイズが77V型、65V型、55V型をラインアップするという。

CESの展示会場では77V型と65V型が展示されていた。これに55V型も加わる

 有機ELパネルをドライブするエンジンには、現行液晶ブラビアのフラグシップとして国内でも発売されている「Z9D」シリーズにも搭載される「X1 Extreme」プロセッサーを使い、自発光型デバイスである有機ELに合わせて独自のチューニングを行っている。現行の液晶テレビにも搭載されている超解像エンジン「4K X-Reality PRO」や「HDRリマスター」の技術も採用されることになりそうだ。

 デザインはテーブルトップスタンドを設けず、背面パネルの中央にあるスタンドでパネルを支えるスタイルを採った。入力端子やチューナーはスタンドの側にまとめてレイアウトされているようだ。

 本機のデザインをよくよく眺めてみると、スピーカーユニットが見当たらない。実は有機ELパネルそのものを振動させて音を鳴らす、独自の「アコースティックサーフェス」という技術により、スピーカー部をそぎ落とすことに成功したのだという。アコースティックサーフェスの仕組みは、アクチュエーター(振動素子)で画面全体を振動させて音を出すというもので、背面のサブウーファーが低域を補う。音質も気になるが、残念ながら沢山の来場者で賑わうソニーのブースでは音を確認できる展示がなかったため、また機会を改めて報告したいと思う。

パネルを背面のスタンドで支えるようなデザインで、サブウーファーはスタンド部に内蔵されている。接続端子やチューナーもスタンドの側にまとめらているようだ
背面のデザイン。スタンドの表面はマットな質感に仕上げている

 なおHDRの技術については、従来の4K/HDRブラビアが対応していたHDR10のほかに、DolbyVisionもサポートすることが明らかにされた。こちらは今回のイベントで発表された新しい液晶ブラビアのほかにも、既発売の「Z9D」がアップデートにより対応するようだ。

 なおソニーとドルビーのコラボレーションについては、音の方でも新たな動きがあった。CESの会場で発表された新しいサウンドバー「HT-ST5000」とAVアンプ「STR-DN1080」がDolby Atmosの立体音響機能技術をサポートする。それぞれにソニーのサウンドバー、AVアンプとしては初めての対応製品になる。これはUHD BDディスクで、サウンドトラックにDolby Atmosの音声を収録するタイトルが増えてきたことを受けたものだという。

「今年はちゃんとテレビを展示して、画も無事に出せたでしょ!?」と、満足な表情を浮かべる平井社長

 ソニーはCESで4K UHD BDディスクの再生に対応するプレーヤー「UBP-X800」も発表した。製品としては、先にアメリカで開催されたホームシアターのインストーラー向けイベントに合わせて発表した上位モデル「UBP-X1000ES」の下にランクするミドルレンジクラスのプレーヤーになるようだが、価格や発売時期に関する具体的なアナウンスはCESの時点ではなかった。先に触れたサウンドバーやAVアンプとともに、UHD BDプレーヤーも日本での展開が検討されているようだ。

ソニーのUHD BDプレーヤー「UBP-X800」

エッジ方式のバックライトシステムを搭載する液晶ブラビア新製品も登場

 今回のCESでソニーが発表したブラビアの新製品は有機ELだけではなく、エッジLEDを効率よく駆動させて薄型テレビで高画質を得るソニー独自のバックライトシステム「Slim Backlight Drive+」(スリムバックライトドライブ プラス)を搭載する液晶ブラビアの新顔もお披露目された。

 エッジLEDの「X93E」シリーズは65V型、55V型の2サイズ。こちらは北米モデルだが、日本国内で発売されている「X9300D」シリーズに近いラインアップと捉えても良さそうだ。このほかに直下型LEDバックライトのモデル「X94E」も75V型の大画面テレビが出展された。

75V型の液晶ブラビア「X94E」シリーズ
「X93E」シリーズは65V型と55V型の2サイズ展開

 本機も映像エンジンが「X1」世代から「X1 Extreme」にアップデートされ、高精度なSDRからHDRへのアップコンバート機能である「HDRリマスター」などを実装する予定。会場では壁掛け設置ができるスリムな大画面液晶としても特長にスポットを当てていた。

 ソニーブースのエントランスには、日本国内でも昨年のInterBEEなどBtoBのイベントに出展された、微細なLED素子を光源とした独自開発のディスプレイ「CLEDIS(クレディス)」を紹介している。1ユニットあたり463.6×403.2mmのモジュールを組み合わせていくことで継ぎ目のない大画面マルチディスプレイをスケーラブルに展開できる特徴を生かし、今春から国内でも業務用の大型ディスプレイとして展開が予定されている。

ブースのエントランスにてお披露目されたCLEDISの大画面スクリーン

 展示会場では横9.7×縦2.7mという巨大なスクリーンを構成してCLEDISの画質をデモンストレーションしていた。なおCLEDISは、2012年のCESで、ソニーが独自の次世代ディスプレイ技術「Crystal LED」としてお披露目したものであることから、プレスカンファレンスの壇上でスピーチした平井一夫社長があえて「Crisytal LED」と呼び、カンファレンスに足を運んだプレス関係者をひきつけるという一幕もあった。

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