通信業界の再編が進む中、次世代サービスへの準備は万端──Ericsson:3GSM World Congress 2007

» 2007年02月21日 16時55分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
Photo EricssonのCarl-Henric Svanberg CEO兼社長

 スウェーデンのEricssonが、スペイン・バルセロナで開催された「3GSM World Congress 2007」でプレス発表会を行い、モバイル/固定通信市場の見通しや再編が進む(記事1、記事2参照)通信インフラ業界の展望について説明した。同社は光ファイバー技術大手の米Entrisphereを買収することも発表し、固定ブロードバンド関連技術の強化を印象づけた。

 EricssonのCarl-Henric Svanberg CEO兼社長は、同社が手がける通信インフラ、サービス、マルチメディアの3つの事業について概観し、通信インフラ業界については「2006年はHSPAがブレークスルーを迎えた年だった」と振り返った。3.5GともいわれるHSPA(HSDPA/HSUPAの総称)は、世界各国で下りを強化したHSDPAから実装が進み、2006年は約100近くのHSPAが展開されたという。HSPAに対応する端末も約50機種に増え、オペレータの中には、伝送速度を当初の3.6Mbpsから7.2Mbpsへアップグレードする動きもある(2005年3月の記事参照)。

 同社はHSPAの先にあるLTE(Long Term Evolution)の研究も進めており、会期中、MIMOをサポートしたLTEのデモを披露している。伝送速度は最大144Mbpsを実現できるという。

 モバイルの世界ではHSPAのようなモバイルブロードバンドに加え、成長著しい新興市場へのアプローチも重要なキーワードだ。実際、携帯電話が途上国にもたらすメリットは大きい。Svanberg氏は、GDPと携帯電話普及率の関連性に関する調査(携帯電話の普及率が10%増加するとGDP成長率は0.6%増加する)を引用しながら、次のように説明する。「データと音声のトラフィックは増加の一途をたどっているが、規模の経済とムーアの法則により、モバイル通信の価格は下がる。新興市場ではモバイルは重要な通信手段となり、携帯電話の加入者数は今年30億人を超え、2010年前に40億人に達するだろう」。Svanberg氏はまた、「携帯電話は安価なPCよりも、デジタルデバイドの縮小に貢献する」とも話す。

 通信業界ではFMC(固定とモバイルの融合)も、大きな流れの1つだ。Ericssonの戦略は固定と無線を組み込んだフルサービス・ブロードバンドアーキテクチャで、これを実現するために固定アクセス技術を強化してきた。フルサービス・ブロードバンドアーキテクチャの実現にあたってはオールIP化がキーワードとなり、買収戦略を進めている。これまで固定アクセス技術ベンダーの英Marconiの買収にはじまり、2006年末にはインテリジェントスイッチを開発する米Redbackの買収も発表している。光ファイバー技術大手のEntrisphereを買収し、IPTVで重要となるGPON技術を手中に収めたのは冒頭で述べた通りだ。

Photo フルサービス・ブロードバンドアーキテクチャのサービスイメージ

 技術と平行して注力してきたサービスは、現在急成長分野となっている。先日発表した最新の業績結果では、サービス事業が約30%増の成長を見せ、サービスではコンサルティング、統合、マネージドサービスの3つを柱に、同社スタッフとパートナー企業を合わせて4万人体制を敷いているという。

 サービス分野を率いるグローバル・サービス事業部執行副社長のHans Vestberg氏は、技術だけでなく「パターンを複製することが大切」と話す。

 CDMAからGSMに移行したブラジルの通信オペレーター、vivo(テレコムサービス市場で10%のシェアを持ち、約1億人の携帯電話ユーザーを支えているオペレーター)の事例では、103日間という限られた期間で2300の基地局を開設し、16万1000のプロジェクトをトラッキングした。その結果、予定の日程通りで開始にこぎつけたという。なお、2006年、Napsterとの提携とともにスタートした音楽ホスティングでは、この日新たに2社のオペレータとの提携を発表。ホワイトレーベルとブランドソリューションという戦略が順調に進んでいることを強調した。

 まだ新しい分野であるマルチメディアでは、テレコム、メディア、インターネットの3つが融合した新しい業界に向けて準備を進めている。具体的には、モバイルテレビなどのメディア・メッセージング、エンタープライズ、サービスデリバリプラットフォーム、課金などの売り上げ管理、モバイルプラットフォームの5つをターゲットエリアとしている。

 Svanberg氏は最後に、今年も昨年並みの成長を期待しており、今後も提携やジョイントベンチャー、買収を通じて通信業界でシェアをとっていく意向を明らかにした。

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