スマートデバイス時代への備えは万全か――NTTドコモ 山田社長に聞く(前編)(2/2 ページ)
急激に拡大したスマートフォン市場に対して、NTTドコモはどう備え、どのように対応しているのか。山田隆持社長に聞いた。
スマートフォン時代の「サポート体制」をどう強化するか
―― スマートフォンが急速に普及したことで、キャリアのサポート体制へのニーズが高くなっています。その一方で、キャリアショップではサポート負担が増大してユーザーの待ち時間が長くなり、顧客満足度が落ちるという傾向が現れ始めている。ドコモは「スマートフォンでも顧客満足度No.1」を目指しているわけですが、キャリアとしてのサポート体制強化を、今後どのように行っていくのでしょうか。
山田氏 いちばん端的な対策としては、コールセンターの強化を行います。実は2010年度は(スマートフォンの)コールセンターの応答率が悪くて、お客さまにご不便をかけてしまいました。そこで今年はコールセンターのリソース配分を大きく変えて、iモード(ケータイ携帯電話)のサポートを行う人員と、スマートフォンのサポートを行う人員の数を逆転させました。これが奏功しまして、今はスマートフォンのコールセンター応答率が80%を超えています。
―― しかし今年は、さらに一般ユーザーが増えます。
山田氏 もちろんです。だから(コールセンターの担当者には)「応答率をしっかり見ておけ。油断するとまた応答率が落ちるぞ」と言ってあります。
―― 店舗などリアルの拠点でのサポート体制はいかがでしょうか。
山田氏 まずはスマートフォンラウンジを強化していきます。すでに丸の内を筆頭に各地にオープンさせていますが、スマートフォンラウンジに行けば、お客さまのお問い合わせにしっかり対応できるようにしていく。スマートフォンラウンジは今後、各支社に1カ所以上、作っていく方針です。例えば、関西支社では、すでに梅田・京都・神戸の3カ所にスマートフォンラウンジを開設しています。
―― スマートフォンラウンジはスマートフォンの普及と利用促進のための施設ですので、サポート体制はもちろん充実しています。しかし、今後のスマートフォンの広がりで考えますと、一般のドコモショップでのサポート体制の底上げも重要になります。
山田氏 ドコモショップの施策としては「スマートフォンマイスター」という資格を作って、それの取得を促しています。
また、細かなところですが、ドコモショップの各カウンターに「Galaxy Tab SC-01C」を置いて、それを用いて商品説明をしてもらっています。こうすると店員が自然と(Android端末に)触るようになるわけです。
あと重要なのは、ドコモショップの店員自身がスマートフォンを日常的に使うことです。そのためにドコモショップ店員の皆さんにスマートフォン購入をしていただくプログラムを用意しています。
―― 今後、スマートフォン市場が一般ユーザー層に広がるにしたがって、対面販売・サポートの拠点として、ドコモショップとドコモショップ店員の重要性は増してくると考えています。スマートフォンラウンジも含めて、このリアル拠点の改革は、スマートフォンをはじめとするスマートデバイス時代を迎えるにあたってとても重要になりますね。
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