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» 2009年08月17日 07時00分 UPDATE

Google風検索ページで「論文を普通の人にも」 NIIの「CiNii」、APIコンテストも

論文データベース「CiNii」のトップページが、Googleのようなシンプルなデザインになった。「Web検索と同じように、論文も検索できるようにしたい」から。APIコンテストも開く。

[岡田有花,ITmedia]

 国立情報学研究所(NII)が運営している論文データベース「CiNii」(サイニイ)のトップページがこの4月から“Google風”に変わり、アクセスが急増している。「GoogleやYahoo!JAPANで検索するのと同じように論文検索してほしい」というNIIの大向一輝 助教の思いが、これまで論文に触れたことのない一般ユーザーに受け入れられているようだ。


画像 CiNii旧トップページ
画像 新トップページ

 CiNiiは2005年にオープンしたサイトだ。国内約1200万件の学術情報(学術論文のタイトルや掲載誌、概要など)を検索でき、うち約300万件は論文本文(PDFファイル)も閲覧できる。

 2007年4月にリニューアル。「CiNiiをもっとたくさんの人に使ってもらい、論文が人目に触れる機会を増やしたい」と、検索エンジンの検索対象にするとともに、SEO(検索エンジン最適化)も行い、キーワード検索する一般ユーザーもアクセスしやすくした。

 効果は絶大だった。リニューアル直後から、想定をはるかに超えるアクセスが押し寄せ、それまで約200万程度だった月間ページビュー(PV)は600〜800万に急増。平日の昼下がりなどピーク時にはアクセスが殺到し、レスポンスが遅くなるといったことも起きたという。

 その都度対策は施してきたものの、ハードを含めた抜本的な対策が必要と判断。今年4月、ハードを刷新するとともに、トップページのユーザーインタフェースもリニューアルした。


画像 詳細検索も可能

 ハード面では、大型のUNIXサーバ1台からラック型のIAサーバ数十台の構成に変え、サーバは負荷に応じて柔軟に追加できるようにした。

 CiNiiトップページも刷新。いくつもの検索窓とプルダウンメニューで構成された「図書館情報学的には気持ちが良かった」従来の複雑なページから、Google風のシンプルなページに変え、Webに慣れたユーザーなら誰でも直感的に検索できるようにした。

 研究者や図書館関係者の利便性も損なわないよう、検索窓の下の「詳細」をクリックすると条件を指定して検索可能に。論文名や著者名、参考文献、出版社などを指定できる検索窓を、画面遷移なしで表示する。

 検索結果は、出版年順や論文名のあいうえお順、被引用件数順などでソート。右カラムには、検索語に関係する著者名を一覧表示し、クリックすると著者名で検索した結果を表示するなど「人の検索欲求の流れを止めないよう配慮した」。

国の機関としては異例の「APIコンテスト」も

画像 大向助教

 Web APIも公開した。論文検索機能(OpenSearch準拠)と、論文の詳細情報をRDF(Resource Description Framework)で出力できる機能をそれぞれ、外部のサイトやサービスなどから利用できる。

 「国の機関としては異例」のAPIコンテストも実施。9月30日まで応募を受け付けている。「賞金などは出せず、“日本一地味なAPIコンテスト”だが、専門家からAPIを使ったサービス作りの指導が受けられる権利などをプレゼントしたい」という。

 APIを使い、携帯電話で論文を検索できるサービスも構築・公開した。「好評なら携帯サービスを本格的に構築したい」という。iPhone版も計画中だ。


画像 CiNiiへのアクセス数推移

 「これまでCiNiiは、『電子図書館』とも呼ばれていたが、ここはWeb。ブログやSNSでユーザーがどんどん情報発信し、情報がオープンになっていく中、Webで学術情報を行き渡らせるには、オープン化や検索対応、API公開は必然だった」と大向さんは振り返る。

 4月のリニューアルからPVはさらに急拡大。6月は月間で1750万と、前年比で2倍に伸びた。研究者や学生だけでなく、一般の人の利用も伸びているという。Google風の使い勝手の良いユーザーインタフェースが、論文への隠れたニーズを拾い上げているようだ。

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