「国内に携帯8社は多すぎる」 NEC、カシオ、日立、携帯統合で海外市場へ
「携帯電話の国内市場はほぼ半減し、回復が見込めない。生き残りをかけた合従連衡は不可避」――NECとカシオ計算機、日立製作所は9月14日、3社の携帯電話事業を統合し、共同出資の新会社「NECカシオモバイルコミュニケーションズ」を来年4月に設立すると発表した。
3社の携帯電話事業を合わせた国内シェアは、約19%でシャープに次ぐ2位。統合で開発コストを削減しながら収益力を高め、早期にシェア1位獲得を目指す。海外市場にも積極的に攻め込んでボリュームを拡大。2012年に国内700万台、海外500万台の販売を目指す。
事業統合に当たってはまず、NECが今年末までに100%子会社を設立し、NECの携帯電話事業を吸収。その上で来年4月に、カシオと日立の携帯合弁・カシオ日立モバイルコミュニケーションズを新会社に吸収合併する。新会社の資本金は当初10億円。来年6月までに50億円に増資し、出資比率はNECが70.74%、カシオが20.00%、日立製作所が9.26%とする。
3社のブランドは残す。NEC、日立、カシオ各ブランド端末の国内での端末供給先キャリアも、基本的には変えない方針。「ビジネス上、価値があると判断すれば変える可能性もあるが、現実には起こりえないだろう」(NECの大武章人専務)
「8社も生き残るスペースはない」
MM総研の調査によると、2007年の国内携帯電話市場は5076万台。市場の飽和や新販売方式導入による買い換えサイクル長期化などで、08年には3589万台にまで激減し、回復は見込めない状況だ。その一方で高機能化で開発コストは増大。メーカーの収益を圧迫しており、三菱電機や三洋電機など撤退するメーカーも出ている。
事業統合は、「07年~08年ごろ、携帯端末販売数が落ち込み、日本市場に閉塞感・危機感があったことから」(大武専務)検討をスタートしたという。「国内携帯メーカーは8社あるが、8社も生き残るスペースはない。合従連衡は不可欠」(大武専務)と、生き残りには国内メーカー同士の統合が必要と判断した。
NECは、通信プラットフォーム技術やソフトウェア開発、薄型化技術などに強みを持ち、NTTドコモとソフトバンクモバイル向けに端末を提供。カシオ日立モバイルコミュニケーションズは、カメラや防水性能、映像技術などに強みを持ち、KDDIとソフトバンクモバイル、米国Verizon Wireless、韓国LG Telecom向けに販売向けに端末を供給しているなど、「技術も市場も補完関係にある」(大武専務)ため、両社の統合が最適と判断したという。
海外市場は3Gサービスが浸透し始めており、2010年ごろからLTEの展開も始まるなど、「日本ベンダーの技術力を生かせる環境になってきた」(大武専務)として海外にも攻め込み、ボリュームを拡大する。
現在、海外展開しているのはカシオブランドの端末のみだが、新会社では、技術力を生かした高機能端末を、まず米国で500万台販売を目指し、その後、各国に進出。2012年に海外700万台販売を目指す。
新会社への出資比率はNECが約7割と主導権を握るが、カシオ計算機の高木明徳常務は、「出資比率の大小はともかく、携帯事業の重要性は軽くなることはない」、日立製作所の渡邊修徳コンシューマ事業本部長は、「携帯端末は、日立のネットワークや家電技術が生かせる。資本の比率にはこだわっていない」と、カシオ・日立もそれぞれ、携帯事業に引き続き注力していく姿勢を強調。今後も合流を望む携帯メーカーがあれば「検討する価値はある」(大武専務)と、合従連衡の拡大の可能性も視野に入れている。
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