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EU、書籍電子化に積極取り組み Googleブックに対抗

» 2009年10月21日 07時00分 公開
[ITmedia]

 EU(欧州連合)の欧州委員会は10月19日、大規模な書籍の電子化・配信に向けて取り組むことを明らかにした。

 同委員会はこの日、書籍電子化に伴う文化的・法的な問題に取り組む提言を採択した。Europeanaなどの電子図書館で消費者や研究者に新たな知識の入手方法を与えるために、孤児作品(著作権者が不明な作品)の問題を解決する必要があるとしている。

 提言書を記したビビアン・レディング委員らは、米国で進められているGoogleブックをめぐる訴訟の和解を取り上げ、欧州が後れを取ってはいけないと主張している。「迅速に行動すれば、競争を促進する欧州発の書籍電子化ソリューションが、米国のGoogleブックの和解案で計画されているソリューションよりも早く動き出すかもしれない」

 それと同時に、書籍の電子化は「欧州の著作権法に則って行われるようにし、欧州の文化的多様性を尊重しなくてはならない」とも同氏は述べている。またもう1つの重要課題として、視覚障害者へのアクセシビリティも挙げている。

 欧州委員会は利害関係者との対話を開始し、大量の書籍の電子化を可能にする、シンプルでコスト効率の高い権利処理の方法を模索するという。この取り組みは絶版書籍と孤児作品に関連する。

 また欧州委員会は10月15日に、EU関連機関の刊行物を電子化してオンラインで公開するE Bookshopを立ち上げ、11万点の刊行物を無料で提供している。

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