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次のホットな電子書籍リーダーは――iPhone?

» 2009年11月05日 13時19分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米モバイル市場調査会社Flurryの分析によると、米AppleのiPhoneは近く電子書籍リーダー市場で最も人気の高い端末の1つになるかもしれないという。Flurryの調査によると、AppleのApp Storeでは電子書籍関連のアプリケーションの数が9月から10月にかけて大幅な伸びを示している。

 Flurryのマーケティング担当副社長ピーター・ファラーゴ氏は11月1日付で同社のブログに次のように記している。「10月には、iPhone向けに新たにリリースされたアプリケーションのうち5つに1つが書籍だった。Your Mobile Appsのような小規模事業者からソフトバンクのような大手まで、あらゆるタイプのパブリッシャーが既存の知的財産をApp Storeに移植しており、その勢いは記録的だ」

 「iPhoneで電子書籍を利用するケースが急増しているということは、AppleがかつてニンテンドーDSから市場シェアを奪ったのと同様に今度はAmazon Kindleから市場シェアを奪うところまできつつあることを示している」とさらに同氏は続けている。Appleが開発中とうわさされているタブレット型Macが2010年のいずれかの段階でリリースされれば、電子書籍市場での競争はさらに激しくなるだろう。

 任天堂は先ごろ、ここ最近の四半期決算における減益の要因としてiPhoneとiPod touchの存在を挙げている。Flurryのブログに掲載されたグラフによると、9月末の段階では「App Storeでリリースされたアプリケーション」のうち「書籍」が20%を占めているのに対し、「ゲーム」が占める比率は12%近くまで減少している。

 ただしFlurryはiPhoneで読まれている電子書籍のうち、Amazon.comやBarnes & Nobleが提供するアプリケーションを使ったものがどの程度を占めているかについては分析していない。Amazon.comとBarnes & Nobleの戦略はいずれも、iPhoneに電子書籍を移植することによって、自社の電子書籍リーダーの域を超えたより広範なエコシステムを生み出すことを目指している。こうした取り組みは、両社のように従来から電子書籍を手掛ける事業者の業績を減じるよりもむしろ増やすことにつながり、Appleはこの分野における競争相手というよりも成功要因になることも予想される。

 電子書籍市場の既存の事業者にとってiPhoneが脅威となるにせよならないにせよ、とにかくこの市場に参入してみようという小規模事業者も出てきている。

 報道によると、シンガポールのCreativeは10月29日に開催した年次総会において、同社初の電子書籍リーダー「MediaBook」を発売する計画を明らかにしたもよう。リリース予定日は発表されていない。このニュースを最初に報じたEpizenter.netなどのサイトによると、MediaBookはタッチスクリーンのほか、テキストの音声読み上げ機能を搭載し、動画などのマルチメディアも楽しめるという。

 向こう半年間により多くの端末が発売され、電子書籍リーダー市場の競争が激化すれば、価格の引き下げと全体的な普及率の拡大につながることも期待できる。実際、Barnes & Nobleが10月20日に電子書籍リーダー「Nook」を発表したのに続き、Amazon.comはKindleの基本モデルの価格を競合製品に合わせて259ドルに値下げしている。ただし、Kindleの大画面版であるKindle DXには競合機種がほとんどないため、こちらの価格は489ドルのまま据え置かれた。

 さらにAmazon.comはiPhone向けのアプリケーションに加えて、PC用の電子書籍アプリケーション「Kindle for PC」を10月22日のWindows 7の発売に合わせて発表した。このプログラムを使えば、Kindle StoreからPCに電子書籍をダウンロードでき、タッチスクリーン対応のPCであれば、タッチ操作でページをめくることも可能という。

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