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コラム
» 2009年12月03日 17時24分 UPDATE

MSとNews Corp.の提携のうわさにもGoogleは余裕の態度

News Corp.がGoogleからニュースコンテンツを引き上げるといううわさの渦中で、Googleは「どうぞご自由に」とばかりに新クローラーを発表した。実際のところ、コンテンツ除外のメリットはあるだろうか?

[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 インターネットでは先週、米News Corp.と米Microsoftとの交渉のうわさで持ち切りだったようだ。交渉の内容は、MicrosoftがNews Corp.に報酬を支払う代わりに、Wall Street JournalなどのサイトをGoogleの検索結果から除外するというものだ。その後の記事によると、当初の報道は誇張されたものであったようだが、わたしはこういった動き自体に疑問を抱いている――「Googleの検索からの除外、というよりはBingへの独占掲載は、ルパート・マードック氏とMicrosoftにとどんな成果をもたらすのか」という疑問だ。

 一部のアナリストの意見を信じるとすれば、この作戦はあまり効果がなさそうだ。Search Engine Landサイトを運営するダニー・サリバン氏は、この提携により、Wall Street Journalは1日当たり100万人近くの読者を失う可能性があり、News Corp.はその代償をBingからの直接的な支払いという形で求めると予想している。一方、Hitwiseの推定によれば、Wall Street Journalのトラフィックの約25%は、Google検索とGoogle Newsの貢献によるものだ。この部分がなくなれば、News Corp.の主力コンテンツのトラフィックが激減することになるだろう。しかも、Wall Street Journalの記事が掲載される検索エンジンBingは、米国の検索エンジン市場のシェアで2けたの壁をまだ突破していない。

 このため、News Corp.が自社のコンテンツをGoogleから除外するのを本当に望んだ場合、同社は少し困ったことになるだろう。それでもMicrosoftとマードック氏が(少なくとも仮説の上で)成功する可能性はあるのだろうか。

 もちろん可能性はある。それは、ほかのメディア各社が、自分たちのコンテンツがWeb上で無料でばらまかれているのに腹を立て、何らかの連合に参加することを決めた場合だ。つまり、CNN、New York Times、Reuters、Associated Press、Washington Postなど多数のメディアがすべて、それぞれのコンテンツをBingという排他的な壁の後ろに置くことに合意するということだ。だがそれは、エルビス・プレスリーが再び現れて、マディソン・スクェア・ガーデンで4回のコンサートを開催すると発表するときだろう――つまり絶対にあり得ないということだ。

 しかし検索エンジンの巨大企業Googleは、ニュースサイトの記事をGoogleから引き上げるというアイデアに危機感を抱いているようだ。同社は12月1日、ニュースメディア各社は「First Click Free」プログラムによって、Google Newsに表示される(あるいは表示されない)コンテンツをきめ細かくコントロールできるようにすると発表した

 このプログラムを利用すれば、メディア各社は(理屈の上ではNews Corp.も含まれる)非登録会員が無料で閲覧できる記事を1日5本に制限することができ、例えばWall Street Journalの記事をその気になれば全部無料で読めるという問題に対処できる。Googleはさらに、Google Newsで特定の記事に「購読」というラベルを付けるという方法も採用するという。この問題に関するGoogleの公式ブログには、First Click Freeプログラムに関する詳細な説明が掲載されている。

 しかしGoogleはその一方で、メディア各社に対して「Google Newsからコンテンツを全面的に除外したいのならどうぞ」といった挑発的な姿勢も見せている。12月2日付のGoogle News Blogの記事で同社のシニアビジネスプロジェクトマネジャーのジョッシュ・コーエン氏は「新しいGoogle News Webクローラー」を紹介し、これによりパブリッシャーは「コンテンツをGoogle Newsから削除しても、Googleの検索結果に表示させるようにする」ことが可能になると述べている。

 「Google Newsに画像が表示されるのは困るが、Web検索結果には表示されるようにしたいだって?――やれよ」とコーエン氏は記している。「Google Newsにスニペット(抜粋部分)を表示したいだって?――どうぞご自由に」

 (「やれよ(Go ahead!)」か……。マウンテンビューの連中は、どうやらダーティハリーの気分にひたっているようだ。「楽しませてくれ(Make our day!)」とでも叫んでいるのだろう。)

 Microsoft(そしてマードック氏、あるいはほかのニュースメディア)が本気で成功したいのであれば、BingがGoogleの市場シェアを大きく浸食する必要がある。少なくともExperian Hitwiseの11月11日付の調査メモによれば、現時点で米国の検索エンジン市場におけるBingのシェアは約9.6%なのに対し、Googleは70.6%のシェアを握っている。MicrosoftとYahoo!の検索広告提携の契約手続きが2010年に完了し、Yahoo!の検索エンジン市場シェアがBingの方に移動すれば、Bingの市場シェアは26.7%に増加する(現時点でのデータに基づく)。

 この26.7%という数字は、70.6%というシェアを持つ企業の生存を脅かすには不十分だ。News Corp.はそのことを知っており、マードック氏がどれだけ騒ごうが、同社は世界最大の検索エンジンのニュース・Web検索結果に掲載されることを望むだろう。

 しかし、もしGoogleが何か致命的なミスを犯して同社の市場シェアが急激に低下し、また、Googleの最近の発表にもかかわらず、News Corp.などのパブリッシャーがGoogleのコンテンツ掲載に対してなぜか怒りの矛先を収めず、さらにMicrosoftがこれらのパブリッシャーをBingの排他的な壁の内側に引き込むだけの魅力を打ち出すことができれば、大きな話題になっている「Googleの検索リストから除外する」というアイデアが実際に何らかの重要性を帯びてくるかもしれない。

 しかしそこにはたくさんの“もし”がある。

 それにエルビスも、近いうちに「監獄ロック」を絶叫できる状況にはなさそうだ。

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