ユーザーサポートは主に、公式Twitter「@tokyofm」で行っている。更新は藤井さんが担当。番組情報をつぶやいたり、ユーザーからの質問や要望に回答する。
「前例がなく、説明が必要なサービスだが、サービスセンターのテレフォンアポインターでは答えられないし、メールで問い合わせに答えているときりがない」(藤井さん)と考え、Twitterを使うことにしたという。Twitterなら公式サイトをよりスピーディに更新でき、ユーザー間の口コミでも説明し合ってくれるため効率もいい。
「サービスセンターにはポジティブな声は集まりにくい」(藤井さん)が、Twitterには、ポジティブな意見や意外な反響も書き込まれる。例えば、「地下鉄で聴けてうれしい」という声は予想以上に多かったという。
「アナログラジオより音質がいい」という意外な意見も多く寄せられた。非圧縮のアナログラジオは圧縮音源を使ったiPhone向け配信より音質が良いはずだが、移動中に聴く人が多かったり、都内ではビル陰など電波状態が悪い場所も多く、iPhoneが高音質と感じる人も多いようだ。
「iPhoneアプリ用のベリカード(受信証明書)が欲しい」――Twitterでこんな要望も受け、手製のベリカード発行を決めるなど、Twitterを通じたユーザーとの交流で新たなサービスを始めたこともある。
「Twitterはラジオ的」と藤井さんは言う。ラジオ番組ではパーソナリティが“つぶやき”、リスナーからのハガキや電話を紹介、交流しながら進めていく。
Twitterでは、パーソナリティが作り出すタイムラインに、リスナーがリプライで参加、面白いリプライをパーソナリティがピックアップして自分のタイムラインで紹介する――など、ラジオの手法をそのまま応用できる。
TOKYO FMの番組でも「DIARY」など一部で公式Twitterを運用。パーソナリティが日々の生活などをつぶやき、その内容が番組にも反映されている。
iPhone向けラジオ配信は1年間の実証実験としてスタート。アプリはラジオの“試供品”のような位置付けで、ラジオの良さを知ってもらい、リスナーを増やすきっかけにしたいという。
「ワインの試飲のようなもの。いくら『このワインおいしいよ』と言っても、飲んでもらわないとおいしさは伝わらない。本当ならアナログラジオ受信機を配りたいところだが、それはたいへんなので」(小田紀和さん)
マルチメディア放送スタートに向けた実験でもあるため、ユーザーの声を聞きながら、音声配信だけでなく、テキストなどによる情報配信やWebサイト連動など、さまざまなコンテンツのニーズを探っていく考え。アプリを何回かバージョンアップし、iPhoneならではの機能などを仕込んでいく計画だ。
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