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「iPhoneからGoogle検索は外さない」とAppleのジョブズCEO

» 2010年06月07日 17時15分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOは、6月1日に開かれたAllThingsDigitalのD8カンファレンスで多数の興味深い発言をしたが、一部の金融アナリストの耳目を集めたのは、検索に関するコメントだった。

 ジョブズ氏は幾つかの検索関連のうわさを否定した。Appleは検索ビジネスに参入することにも、iPhoneとiPadのGoogle検索をMicrosoftのBingに置き換えることにも関心はないと主張した。

 Appleが最近セマンティック検索企業Siriを買収したことについて聞かれたとき、同氏は、Siriは検索ではなくAI(人工知能)の会社だと語り、「われわれは検索事業には参入しない。検索に関心はない。検索はほかの企業が得意だ」と述べた。iPhoneとiPadからGoogleを排除するかとの質問には、ノーと答えた。

 このコメントの前には、AppleはiPhoneおよびiPadのデフォルト検索エンジンをBingに置き換える、あるいは少なくともBingをオプションとして提供する契約を検討しているといううわさが流れていた。ジョブズ氏は間もなく開幕するAppleの開発者会議でそうした発表をする可能性があるという。

 BroadPoint AmTechのアナリスト、ベン・シャクター氏は、Appleが検索でGoogleと新たな戦いを展開するかもしれないと懸念していた投資家にとってはいい知らせだと語る。

 「このようなコメントは、Googleにプラスになるとしか解釈しようがない」とシャクター氏は3日のリサーチノートで述べている。

 「Appleが同社の製品からGoogleを排除するだけでなく、AppleがMicrosoftなどを代理人に立てて、または『検索のUIに集中して、Microsoftに検索インデックスを任せる』というYahoo!のような戦略を通じてGoogleと直接競合しようとするかもしれないと懸念していた。ジョブズ氏が検索に参入する計画はないと言うなら、その通りに受け止める」(同氏)

 検索の専門家ジョン・バッテル氏は、ジョブズ氏のコメントから受ける印象ほど単純ではないと考えている。

 バッテル氏は2日のブログで、GoogleやYahoo!の古典的なWeb検索プラットフォームでなく、Appleがどのような形で検索を提供するとみられるかを説明している。

 同氏は、AppleはiPhone・iPad向けに販売するモバイルアプリの垂直検索プラットフォームを作り出すと確信している。

 ユーザーはApp Storeで適したアプリを探すのに苦労しているため、このような検索機能はメリットになる。同ストアには20万種を超えるアプリがある。

 「Appleは検索に乗り出す」とバッテル氏は言う。「われわれが知っているようなWebの検索ではなく、アプリの世界の検索になるだろう。うまくやれば非常に利益が出る」

 バッテル氏――検索への見方を考え直すべきだと主張している――以外にも、Appleが検索に参入すると考える関係者はいる。Piper Jaffrayのアナリスト、ジーン・マンスター氏は3月30日のリサーチノートで、AppleはWebでGoogleなどの企業からアプリケーションデータを守るために、特別な検索エンジンを構築しなければならないと述べていた

 AppleはiPhoneやiPadからGoogle検索やその他のアプリを排除しないかもしれないが、自社のアプリデータを囲い込み、GoogleのiPhone・iPad向けモバイル広告計画を妨害する可能性がある。

 その一方で、Appleは既にモバイルの多くの分野でGoogleと競合している。今週には、Appleが開発者会議で第4世代iPhoneとiAdプラットフォームを発表し、両社の戦いはさらに激しくなる。

 これら製品はGoogleのAndroid、AdoMob、モバイル向けAdSenseにとって強敵となるだろう。

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