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チューリング博士の論文を救え――ネットで寄付募るキャンペーン

» 2010年11月25日 07時30分 公開
[ITmedia]

 「コンピュータの父」アラン・チューリング博士の論文をふさわしい場所に――オークションにかけられた貴重な論文を入手するため、ネットで50万ポンド(75万ドル)の寄付を募るキャンペーンが進行中だ。

 このキャンペーンを実施しているのは、英Bletchley Park博物館を運営するBletchley Park Trustの支持者。オークションハウスChristie'sで売りに出されたチューリング博士の論文を入手する資金を集めることが目的だ。博士は同博物館の前身となる暗号研究所で働いていた。

 チューリング博士は第2次世界大戦中にドイツ軍のEnigma暗号を解読した功績で知られる数学者で、現代コンピュータの父とも言われる。オークションでは、博士が最初に公表した論文も含めて多数の論文が売りに出されているという。キャンペーン主催者は、これらの論文は専門の博物館が所蔵すべきだが、「Bletchley Parkには(予想落札額の)30〜50万ポンドを払う余裕はない」としている。論文を入手した暁には、同博物館で公開展示したいとしている。

 論文のオークションは11月23日に実施されたが、入札が最低価格に満たず買い手は決まらなかった。再度オークションにかけられるのか、売り手の元に戻されるのかはまだ不明だが、主催者はいずれにしても論文入手には多額の資金が必要とみて、寄付の募集を続けている。Googleはこのキャンペーンに賛同し、10万ドルを寄付すると表明している。

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