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情報セキュリティ対策はアプリケーションが肝に――IDC Japanが指摘

» 2011年05月31日 14時33分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 IT調査会社のIDC Japanは5月31日、国内の情報セキュリティ市場に関する調査レポートを公開した。2010年の製品別の市場規模は、ソフトウェアが前年比11.8%増の2030億円、サービスが同6.0%増の6182億円、アプライアンスは同13.5%減の293億円だった。

 ソフトウェア市場では、2011年は東日本大震災によるIT支出の抑制から成長ペースの鈍化が予想されるが、2012年以降は復興施策によるICT基盤整備や、自社所有のリスク管理の見直しによるクラウドサービスの利用拡大で、アイデンティティ/アクセス管理やWebセキュリティ管理製品を中心に需要が高まるとみる。2010〜2015年の年平均成長率(CAGR)は2.8%で、市場規模は2015年に2330億円になると予測する。

 アプライアンス市場の2010年実績は、すべての製品分野で前年を下回った。2011年は社外から社内へのリモートアクセス需要が高まり、ファイアウォール/VPN、UTMを中心に成長に転じることが見込まれる。2012年以降はクラウドサービスの需要拡大も加わり、2010〜2015年のCAGRは3.7%、2015年の市場規模予想は351億円。サービス市場も震災後のIT支出抑制の影響を受けることが見込まれが、2010〜2015年のCAGRを8.6%、2015年の市場規模を9322億円と予想している。

 同社は、セキュリティ脅威がネットワーク層からアプリケーション層にシフトしていると指摘。大震災以降はインターネットなどを介したクラウドサービスの利用拡大が見込まれ、従来のようなネットワーク境界で防御だけでは脅威を防げず、アプリケーションレベルによる認証や通信データの暗号化といった対策が必要だと述べている。

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