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レンタルサーバ会社の注記に「データの復元を保証するものではありません」オルタナティブ・ブロガーの視点

» 2012年06月25日 13時13分 公開
[佐々木康彦,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「平凡でもフルーツでもなく、、、」からの転載です。エントリーはこちら。)


 ファーストサーバの大規模障害によるデータ消失では、会社サイトをCMSで運用しているケースや、グループウエアをレンタルサーバ上で運用しバックアップをとっていなかったケースが1番つらい物があるかと思います。

 10数年前でしたら、静的なhtmlを制作会社に依頼して修正していく運用方法がほとんどでした。しかし昨今は、大量のコンテンツを抱える企業サイトや更新のスピーディーさが求められる案件、さらにはブログブームもあり、コンテンツマネジメントシステム(CMS)を利用した企業サイトの制作・運用が非常に増えました。

 最近は、CMSやグループウエアがセットアップされた状態で利用できるレンタルサーバも増えています。ライセンス費用や初期セットアップ費用が基本ゼロ円だったり、日々の運用にCMSを活用することで制作会社への外注費を抑えられる点や、自社でスピーディーに更新できることもあり、どんどんこっちの方向に流れるのは致し方ない流れかなとあきらめていました。

 ここ最近のコスト削減圧力においては、できるだけ安くホームページを構築し、あとは自社運用というケースが増えており、こうなってくるとホームページのデータはお客さまがバックアップするのが前提です。何か事故があってもそこはもうお客さまに何とかしてもらうしかありません。

 弊社がよく利用するレンタルサーバ会社のサービス案内には「3重バックアップ」という案内があり、安心感をアピールしています。しかしその最後には注記で

 ※当機能は、データの復元を保証するものではありません。

 とあります。理屈としてはバックアップデータがあれば復旧はできる筈だけれど、その復旧を保証するものではないというリスクヘッジをレンタルサーバ会社もしている訳です。

 今回発生したレンタルサーバの大規模障害では大規模に企業サイトの本番データが失われました。他社サービスを利用しているWeb担当者の方々も、データ保全について早速検討されているかと思います。

 静的なhtmlの復旧なら制作会社と定期メンテナンスの契約をしていればデータ保管はしてもらえるでしょうから難しくないですね。レンタルサーバ上で動いているCMSやグループウェアで日々更新、追加される情報を自社でバックアップし、いざというときには復旧させる手立てを自社で準備するか、制作会社と別途契約しておくかについては、コストなどの問題もあるでしょうから比較検討がまずは必要かと思われます。

 10数年前はhtmlを手作業するのが普通でしたので、ビジネスパートナー契約したレンタルサーバ会社からエンドクライアントを続々と紹介されたものです。しかし最近レンタルサーバにCMSがセットアップされたサービスが出てきたことで、エンドクライアントとは直接契約、もしくは初期構築だけでメンテナンス契約はなしというパターンが圧倒的多数になりつつありました。

 そうなると、今回のトラブルを教訓にしたレンタルサーバ会社がバックアップツールを提供しても、きちんと対応できるエンドクライアントと、やらない、もしくはやれないクライアントが出てくるのではないかと思います。

 安価で簡単なレンタルサーバを宣伝するだけではなく、制作会社や開発会社との関係性を長期的に維持していると、今回のような想定外の事故が起きてもダメージ軽減につながるという事をアピールする必要性を感じました。

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