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「できることは全てやった」――「あかつき」12月7日に金星軌道再投入(2/2 ページ)

» 2015年11月09日 17時53分 公開
[岡田有花ITmedia]
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太陽熱に耐えた観測機器

 うまく軌道に投入できれば、観測機器のチェックを行い、観測がスタートする。

 あかつきに搭載した5基のカメラなどの観測機器は、長期間太陽熱にさらされたため故障する可能性が心配されていた。うちカメラ3基の立ち上げ試験を10月に行い、動作を確認できたという。残りの2基は金星到着後にチェックする。「5年前と違って厳しい面もあるが、なんとか知恵と努力で乗り切りたい」と、今村剛プロジェクトサイエンティストは話す。

 観測機器を使い、金星の上空を毎秒100メートルもの高速で大気が循環する「スーパーローテーション」のメカニズムの解明や、金星をとりまく硫酸の雲の仕組み、金星の雷の仕組みの解明などに挑む。

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「初音ミク」ついに金星へ?

 軌道投入失敗から5年。プロジェクトメンバーは「虚心坦懐」に再投入の日を迎えようとしているという。「あかつきからの電波が途絶えたと、NASA(米航空宇宙局)から連絡を受けたことがあった。その時は覚悟を決めた。大騒ぎする者もおらず、運命を受け入れるつもりだったが、実際にはNASAで間違ってコンセントを抜いていた。これで生き返ったとほっとしたが、そのぐらい虚心坦懐にやっている」――中村プロジェクトマネージャはこんなエピソードを披露する。

 あかつきには、公募で集まった26万人からのメッセージ入りネームプレートが搭載されており、初音ミクファンの有志が集って描いたイラストやメッセージも含まれている。「5年遅れになったがネームプレートを届けて、国民の皆様の期待に再び添いたい」

 JAXAのWebサイトでは現在、あかつきプロジェクト関係者やミッションへの応援メッセージを募集中だ。

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