ボッシュが17年のIFAで発表したハンディスキャナーのコンセプトモデル「X-Spect」には、光学センサーを使って衣服に付着した汚れの成分を調べ、データをスマート洗濯機に送って洗濯コースを自動で設定する技術が搭載されていた。今年はこの技術を応用し、冷蔵庫に保存した生鮮食品を光学センサーでスキャンし、食材の識別、鮮度の解析まで行える技術を展示した。食材管理が自動化されれば、スマート冷蔵庫の存在意義も増してくるだろう。
ボッシュはまた、地元ベルリンのスタートアップ「Kitchen Stories」と組んでHome Connectと連携するアプリも開発した。冷蔵庫の中にある食材から献立を提案するAIアシスタント的な使い方ができて、多彩なレシピのレコメンデーションでユーザーを支援する。
イギリスのスタートアップ、Smarterは普通の冷蔵庫にスマート機能を“後付け”するカメラユニット「FridgeCam」を発売している。価格は149.99ポンド(約2万2000円)。冷蔵庫の内側に吸盤でWi-Fiカメラを装着し、中にある食材を撮影。買い物の際にスマホアプリ「Smarter app」でストリーミング映像を確認すれば、無駄な食材の買い足しを防げるというアイテムだ。
また食材の消費期限をリストに登録しておくと、タイムリミットが近づいたときにアプリがアラートを出す。食品の登録管理については「将来はスーパーとパートナーシップを組み、スマートタグ情報をベースにより簡単に素早くアプリに登録できるシステムを作りたい」とスタッフが語っていた。
パナソニックは、今年の秋からNTTドコモと共同で、LPWA(Low Power Wide Area)を活用するIoT家電の実証実験をスタートする。IFAで開催したプレスカンファレンスでは通信キャリアのボーダフォンと組み、ドイツ・フランクフルトでも同様の共同実証実験を行うことを明らかにした。
実験では、LPWAの1つである「NT-IoT」(NarrowBand-Internet of Things)を活用し、エアコンの遠隔操作や機器管理をネットワーク経由で行う。こうした付加価値を提案できれば、パナソニックが同カテゴリーでリーディングポジションをとる狙いがある。ステージのプレゼンテーションにも気合いが入っていた。
5G時代の到来に備えて、エレクトロニクスメーカーの動きも少しずつ活発化してきた。5Gとエレクトロニクスの関係性については「高速低遅延・大容量のデータ伝送が可能になる」という文脈だけにとらわれがちだが、「同時多数接続」という面にも関心を向けたい。スマート家電やIoTデバイスが1台ずつネットワークに常時接続されることで、新しい使い方や便利な生活のイメージが顕在化する期待もある。またスタンダード、エントリークラスの白物系家電製品にも「スマート化」の波が押し寄せるきっかけになるだろう。数年後にはIFAの会場がスマート家電で埋め尽くされているかもしれない。
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