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ダンバル大量発生で東京が「更地」に 運命に抗うトレーナーの決断(2/2 ページ)

» 2018年10月24日 07時00分 公開
[ITmedia]
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破局

 午後1時39分。公式Twitterアカウントが爆弾を投下しました。

 「想定を大きく超えるアクセスのため、一部地域において障害が継続しております。ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。ダンバルのコミュニティ・デイは後日、改めて皆さまにお楽しみ頂けるよう、再度開催いたします。新しい日程については改めてお知らせいたします」

「東京スカイツリー」周辺もこの通り

 あえて要約すると「ごめん、今日もう無理。また今度」です。怒り出すトレーナーもいれば、「再度開催」に胸をなで下ろしたトレーナーもいました。人それぞれの反応を見せている中、私は何か違和感を覚えていました。

 過去の事例では「開催時間の延長」で対応していたのに、早々に延期を表明したのはなぜか。それは通信障害など足周りの問題ではなく、ポケモンGOのサーバが一部ダウンしたからではないでしょうか。それなら延期の判断が早かったこともうなずけます。

普段の東京スカイツリー周辺

 もう1つの違和感は、障害の規模です。再度開催するくらいですから、全国規模でトラブルが発生していると思っていたのですが、SNSなどを見て間違っていると気付きました。障害は東京の一部地域に限られ、周辺の神奈川や千葉は普通にプレイできています(あとで大阪や奈良などでも障害が起きていたことを知りました)。

 私は9月の「カントー地方イベント」を思い出していました。ポケモンGOの場合、特定のセル(管理するエリアの単位)に障害が発生したとき、セルの境目ではちょっと移動するだけで状況が一変します。当時、ネット上でセルの境目といわれていた場所を訪ね、本当に出現するポケモンが変わる様子を目の当たりにしました。現実とリンクした位置情報ゲームだからでしょうか。単にゲームの設定が異なるだけなのに、街の中に「見えない壁」があるような気がして面白かったです。もしかすると今回も境目を通り抜けるだけで快適にゲームができるかもしれない。そんな気がしました。

脱出

 午後2時10分。一緒にいたトレーナーの1人がつぶやきました。

 「再度開催されても、次も仕事を休めるとは限らない」

 そう、トレーナーは土日休みのサラリーマンばかりではありません。例えばサービス業の人はコミュニティデイに参加するために休暇をとったり、シフトを調整したりしているのです。

 スマホの画面に映るディストピアを見ながら、私は決心しました。

 「東京を、出よう」

 幸い、われわれがいたのは「東京スカイツリー」。隣には、東武鉄道「とうきょうスカイツリー駅」があります。午後2時15分発の急行電車に飛び乗り、20分後には埼玉県の草加駅にいました。ニアバイを確認すると……ダンバルがいます!

ダンバルがいます

 駅前にはポケストップやジムがあります。リアルな街には、通行のジャマにならないよう道端でスマホを使う人々。明らかに「お仲間」です。もちろん錦糸町などに比べればジムやポケストップは少ないですが、もうダンバルがいるだけで満足。ポケモンがとれる、ポケストップを回せる。何でもないようなことが幸せだったと思うのです。

ポケストップ。なんとフォトディスクが回ります

 午後2時40分。残された時間はわずか。早速駅前に出ると、何ということでしょう。すぐに色違いのダンバルが2体、続けて出現しました。

ダンバル色違いがお出迎え

 その後の約20分、一心不乱にダンバルを乱獲したわれわれは、満足して帰路につきました。「次回のコミュニティデイは大宮公園に行ってみようか」などと話しながら。こうしてまた、トレーナーは鍛えられるのでした。

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