ソフトバンクの携帯電話サービスで12月6日に大規模な通信障害が発生し、日本中のユーザーが影響を受けた。発生当初は、障害情報サービス「ダウンディテクター」を使って状況を確認する人も多かった。
ダウンディテクターは、通信やWebサービスなどがダウンしたときによく参照される。米シアトルに本社を置くOoklaという企業が提供しており、各サービスの障害がいつ発生し、世界中のどこで起きているかなどを、リアルタイムに確認できる。
ただ、ダウンディテクターの情報はさまざまなデータを分析した推測に基づいており、サービス提供企業からの正式な情報ではない。情報源の一つはTwitterだ。各サービスのページには、「障害発生報告」として、障害について報告しているツイートを自動抽出して掲載している。
情報収集の方法について、ダウンディテクターのサイトには、以下のように書かれている。
「ダウンディテクターは様々な情報源から障害状況レポートを収集します。収集したデータをリアルタイムで分析することにより、私たちのシステムはかなり早い段階で自動的に障害やサービスの中断を探知することが可能です。分析するレポートの情報源のひとつがツイッターです」
つまり、Twitterに「ソフトバンク携帯で障害が起きている」といった内容が多数投稿されると、ダウンディテクターが「ソフトバンクで障害が発生している」と判断する――といったイメージだ。情報源はTwitter以外にもあるようだが、Twitterの役割は大きいと考えられる。
また、各サービスのページ上には掲載されている、一般のユーザーによる障害報告のツイートについてダウンディテクターには、「免責事項」として、こう書かれている。
「ダウンディテクターのソフトウェアはネット上の障害に関連するツイートを選び出して表示します。ツイートの内容の正確性は保証できません。ツイートの選択アルゴリズムの改善には取り組み続けていますが、『誤判定』や『誤検出』されたツイートを表示しないと保証することはできません」
ダウンディテクターのツイート解析システムはまだ発展途上で、誤判定もあると提供元は認めている。
ダウンディテクターがこういったシステムになっているため、“誤報”もあり得る。ダウンディテクターで6日の障害の履歴を見ると、障害がなかったはずのauとNTTドコモでも、障害が発生したと出ている。これを見て「ドコモやauでも障害発生」と誤解し、ツイートで拡散する人も多く、ドコモとKDDIには多くの問い合わせがあったようだ。
この“誤報”は、ソフトバンクの障害情報とあわせて、ドコモやauについてつぶやいた人の投稿が、ダウンディテクターに誤って解析された結果だろう。例えば、ダウンディテクターのauの障害報告ページを見ると、「私のiphoneたちはauメイン、docomoとsoftbank回線がサブなので通信障害には強い」「ソフバン、auは通信障害多いイメージ」「softbank通信障害? auのわいは高みの見物」などのツイートが「au障害発生報告」として上がっている。
また、TwitterやGmailといったWebサービスも、実際の障害状況とは関係なく、ソフトバンクの障害と同時刻に障害が発生していたと表示されている。ソフトバンクだけで起きていはずの障害が、他のサービスの障害情報に影響を与えていたようだ。
ダウンディテクターの情報はあくまで、Twitter投稿などに基づく推測ベースだ。障害が起きたときの情報源としては、参考程度にとどめておいたほうがいいだろう。
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