2002年6月に登場した「COOLPIX 5700」は、2/3インチCCDを搭載し、望遠系ズームレンズを搭載しているのにも関わらず、非常にコンパクトなのが特徴のハイエンド機だった。液晶モニタもマルチアングルタイプを採用し、2001年末に出た広角系ハイエンド機の「COOLPIX 5000」と並んで人気を博したのは記憶に新しい。
だが、1年に1度はモデルチェンジするのが当たり前となっている民生用デジカメの世界にあって、COOLPIX 5000の後継機である「COOLPIX 5400」は1年半後の2003年夏に登場。残るCOOLPIX 5700も発売から1年半が経ち、そろそろ後継機が出てこないとヤバイんじゃないかという声さえ上がり始めた2004年2月、やっと発表されたのが800万画素CCDを搭載した「COOLPIX 8700」だ。2004年春の800万画素ハイエンド機ラッシュの先陣を切っての登場である。
COOLPIX 8700の見た目はCOOLPIX 5700そのものである。ちょっとした装飾以外は区別がつかないほどだ。
1年半以上経っているのに同じボディというのは少々インパクトに欠けるが、COOLPIX 5700の完成度が高く、わざわざフルモデルチェンジしてまでそのコンパクトでシャープなデザインに手を加える必要はなかったのかもしれない。
CCDは2/3インチと同じサイズだが、500万画素の補色フィルタから800万画素の原色フィルタになった。それが一番大きな違いだ。
レンズも同じで35〜280ミリ相当(35ミリカメラ換算)の8倍ズーム。2004年春のハイエンド機では28ミリ相当の広角からのズームが人気だが、ニコンはCOOLPIX 5400という広角系ズーム機を持っているため、あえてCOOLPIX 8700は望遠系にこだわったと見てよい。
絞りはF2.8〜4.2で、最小絞り値はF8。シャッタースピードは、プログラムAEでは2〜1/4000秒だが、マニュアル露出では最長10分の長時間露出も可能だ。ただし、絞り値は1/3段刻みでセットできるのに対し、シャッタースピードは1段刻みのままだ。シャッタースピード優先AEに関してはそれが物足りない。
マクロは従来機と同様に中望遠域で一番近寄れる仕様で、レンズ前3センチまで寄れる。これは強力だ。マクロが働くエリアでは、液晶モニタ上のマクロアイコンが緑色になるのでそれがわかる。
さて、肝心な画質である。同じCCDサイズで画素数が500万から800万へと大きく上がった分、画素ピッチは落ちている。民生用の300万画素機や500万画素機と同等の画素ピッチになったと思ってかまわない。それに伴って、設定できるISO感度も、ISO50/100/200/400相当とCOOLPIX 5700に比べて1段階落ちているのは残念な点だ。
しかし、画質自体はかなりよい。バランスを重視した画質設計であり、発色も比較的忠実で、派手すぎないさわやかな色味である。コントラストとエッジ強調はやや高めだが、ほどよいバランスを保っており、シャープでメリハリのある写真を撮ることができる。
オートホワイトバランスは強めに合わせてくるタイプだが、色温度が低すぎると追従しないので、その際は自分でセットした方がよい。
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