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NASに保存したコンテンツをいつでもどこでも楽しみたい!ASUSTORで始めるメディアサーバ(1/2 ページ)

» 2014年11月11日 22時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

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そもそもメディアサーバはなぜ必要?

今回は「AS-202TE」をメディアサーバとして利用する方法を紹介

 ディスク容量を圧迫するファイルと言えば、動画を始めとするメディアコンテンツが筆頭だろう。1つ1つのファイルサイズが大きいだけでなく、ファイル数も膨大だったり、日々増えていくケースが多い。

 その一方で、ローカルネットワーク内でPC同士で共有するメリットが大きいファイルでもある。メディアファイルをPC内蔵ストレージからNASに移行したいと考えてAS-202TEの導入を考えている人も多いだろう。

 しかし、メディアファイルをPC間の共有だけでなく、PC以外のデバイスでの再生まで活用シーンを広げようとすると、いくつか考慮しなければならないことが出てくる。

 1つはプロトコル。Windowsで用いられるCIFS、MacのAFP、UNIX系のNFSなど、ファイル共有プロトコルはいくつかある。しかし、モバイルデバイスでは、これらのプロトコルに対応していない、あるいは対応していても限定的なことがある。

 例えば、メディアファイルの再生ではダウンロードしながら順次再生するストリーミング再生が実用上必須となる。そのため、先読みを行うバッファリング、中断した続きからダウンロードを再開するレジューム、ランダムアクセス機能など、単純なシーケンシャルアクセス以上に柔軟なアクセスが求められる。OSレベルで対応していないデバイスの場合は、プレーヤー側でそのようなファイル共有プロトコルに対応しなくてはならない。

 スマートフォンのファイル管理ユーティリティがWindowsファイル共有に対応していても、そこから起動される動画プレーヤーが対応していなければ、ファイル丸ごとダウンロード後に再生を始めることになる。

 そしてもう1つがフォーマットだ。メディアの記録形式は、より高品質化、高解像度化に向かっている。CPUの性能向上、通信回線の帯域増大を背景として、圧縮効率が上がった分を品質向上に充てているような印象だ。その半面、デバイス・通信環境の多様化によって同じコンテンツの再生環境スペックも大きな幅ができてしまっている。有線通信・据え置きPCでなんとか再生できるくらいの高品質なコンテンツを、そのままストレスなく再生できるスマートフォンの環境はかなり限定的だろう。逆に3G回線利用時のスマートフォンでも問題なく再生できるように調整したコンテンツでは、PCでの再生時に品質に不満を感じるかもしれない。

 そのため、マルチデバイスでの再生を前提としたメディアセンターを構築する場合には、再生対象となるデバイス・通信環境で利用できるプロトコルを用い、それぞれで最良のパフォーマンスが発揮できるような仕組みが求められる。単純にPC用/スマートフォン用の2種類のファイルを用意しておくのも手だが、準備に手間が2倍かかるのはあまり歓迎できない。

 そこで、メディアの配信に特化したメディアサーバ機能が求められるわけだ。そして多機能NASにとってメディアサーバという役割は非常に親和性がよい。本体そのものに大容量のストレージ、ネットワーク、そしてトランスコード可能なプロセッサと、メディアサーバに必要な要件がすべてそろっているからだ。

 冒頭述べた通り、AS-202TEを大容量ファイルサーバとして活用していれば動画や音楽などのマルチメディアファイルがそこに集約されてくることが多く、メディアサーバの機能を有効化すればすぐにでもメディアサーバとしての環境ができるはずだ。

 さて、AS-202TEには下の4つのメディアサーバが用意されている。

  1. iTunes Server
  2. Plex Media Server
  3. UPnP Media Server v1
  4. UPnP Media Server v2

 今回はこのうち、Plex Media Serverを詳しく紹介していこう。

Plex Media Serverのインストール

 Plex Media Serverは、独自/DLNA両プロトコルをサポートし、専用/Web/DLNAプレーヤーから利用できるメディアサーバだ。アドオンによるメディアタイプの追加や、メディアファイルのメタ情報自動取得など、前回紹介したXBMCのようなリッチなライブラリ構築を可能とする。

 専用プレーヤーのプラットフォームは多岐に渡り、モバイル用ではAndroid/iOS/Windows Phone、テレビ接続用ではXbox360/Chromecast/Amazon fireTV/Google TVなど幅広く用意されている。PCではWebブラウザで閲覧するのが手軽だが、Windows/Mac/Linux用の専用プレーヤーもある。

Plexのサイト(https://prex.tv)

 Plex Media ServerのインストールはApp Centralから行う。カテゴリ「メディア サーバー」の中に見つかるはずだ。他のアプリ同様、インストールをクリックするだけでパッケージのダウンロード、インストールを行ってくれる。

App Centralからカテゴリ「メディア サーバー」を選択

Plex Media Serverを選択。原稿執筆時のバージョンは0.9.9.14.531-7eef8c6

 インストールが完了するとADMデスクトップにPlex Media Serverのアイコンが追加されるので、それをクリックすると新しいタブでPlex Media Serverの設定画面が開く。もし、そのページが表示されない場合はいったんPlex Media Serverを再起動してみるとよい。

デスクトップに追加されたPlex Media Serverアイコンをクリックすると新しいタブでPlex Media Serverの設定画面が開く

Plex Media Serverの設定画面に接続できない場合にはApp Centralから一度サービスを停止させた後、再度有効にする

Plex Media Serverに初めて接続したときには利用規約が表示される。「AGREE」で利用規約を承諾し、先に進める

 初期状態ではPlex Media Serverには何もメディアが登録されていない。まずはAS-202TE上のメディアファイルを登録しよう。「+」ボタンをクリックしてメディアファイルの収められたフォルダを指定する。しばらくするとフォルダ名やファイル名から番組/映画情報データベースを検索し、自動的にライブラリが構築される。

メディアの登録は「+」をクリック

ジャンルを選択する

ライブラリ名を指定

フォルダを選択する。通常、データフォルダは「Volume1」以下にある

ボリュームはアクセスコントロール>共有フォルダで確認可能

フォルダを追加

「ADD LIBRARY」をクリックしてライブラリに追加

ファイルの命名ガイドライン(https://support.plex.tv/hc/en-us/categories/200028098-Media-Preparation)。XBMC同様、シーズン番号やエピソード番号を規則に従って入れておけば番組情報データベースから正確な情報が取得できる

表示形式はPosters、詳細、Listから選択できる。画面は詳細を選んだところ

番組を選んだところ。表示形式に「詳細」を選んでいるので各エピソードの概要が表示されている

なお、「Season 1」という表示は便宜上つけられるもので、Season 2があるわけではない。長年待ち望んだ2期がついに始まるのか! と期待したりしないように……

 なお、Wi-Fiでスマートフォンを家庭内ネットワークに接続し、WebブラウザからPlex Media Serverにアクセスすれば同様に視聴が可能だ。アドレスはPCからアクセスする際と同じもの(http://[AS-202TEのIPアドレス]:32400/web/)でよい。

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