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» 2012年06月06日 11時49分 UPDATE

電力供給サービス:電力不足を回避する「デマンドレスポンス」、中部電力も実証サービスを開始

夏の昼間に電力使用量を削減することで、利用者にもメリットが生まれる。電力不足を回避するための新しいサービスに向けた取り組みが加速してきた。電力不足が想定されるときに、利用者が節電に協力することで対価を得られる「デマンドレスポンス」である。

[石田雅也,スマートジャパン]

 中部電力は愛知県豊田市の一般家庭を対象に「デマンドレスポンス」の実証実験サービスを開始する。6月から来年2月までの約9カ月間を予定しており、最大で160世帯を対象にする計画だ。この結果をもとに、来年夏からの本格的なサービスの展開を検討する。

 デマンドレスポンスは夏の昼間など、電力需要がピークに達して供給が追いつかなくなる事態が想定される場合に、電力会社が事前に利用者に対して使用量の削減を依頼するもので、その削減量に見合った対価が利用者に支払われる。依頼に応じることから「デマンドレスポンス」と呼ばれており、米国では電力会社によるサービスが始まっている。

 中部電力が豊田市で開始するデマンドレスポンスの実証実験では疑似的な形態をとる。電力需要がピークになる13時〜16時の電気料金を高く設定したメニューを用意して、実際の電力使用量の増減によって電気料金がどのように変わるかを、対象者の家庭にあるタブレット端末などに表示する仕組みだ(図1)。

ALT 図1 中部電力が実験に使用するデマンドレスポンスの仕組み。出典:中部電力

 合わせて直近の電力需要の状況を端末に伝え、需要がピークになる時間帯の節電を促す。この節電の依頼に応じてエアコンを止めるなどして電力使用量を削減すると、使用量のデータが常にサーバーに送られているため、時間帯別の電力使用量や電気料金の変化が即座に端末に表示される。

 中部電力がデマンドレスポンスに対応する料金メニューとして想定しているプランは、13時〜16時のピーク時間帯の単価を大幅に高くする代わりに、そのほかの時間帯の単価を現在よりも低くする(図2)。

ALT 図2 デマンドレスポンスに対応した新しい料金メニューのイメージ(現在の家庭向けメニューと比較)。出典:中部電力

 家庭向けでは「従量電灯」という時間帯に関係なく単価が一律のメニューが一般的だが、中部電力は時間帯別の「Eライフプラン」と呼ぶメニューをすでに提供している。今回の実験に参加する家庭において、これらの現行プランと比べた電気料金の増減やピーク時間帯の電力使用量の削減効果を検証する。

 デマンドレスポンスによってピーク時間帯の電力使用量が減ることは確実である。いかに利用者側にメリットのある料金メニューを作れるかが、サービス普及の最大のカギを握っている。中部電力が利用者側のメリットを重視した料金メニューを用意するように期待したいところだ。

 すでに関西電力が企業向けのデマンドレスポンスを7月から開始することを発表しているほか、大阪ガスと関連会社のエネットも顧客企業を対象に6月1日から試行サービスを始めている。利用者側にメリットのあるサービスが提供されれば、デマンドレスポンスは一気に拡大する可能性があり、電力不足を長期的に解消する有効な手段になる。

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