太陽光・風力・燃料電池など、エネルギー技術を結集した新工場スマートファクトリ

日清紡グループが繊維や化学製品を生産する徳島県の工場をスマートファクトリに改良した。太陽光と風力による発電システムを設置したほか、燃料電池や蓄電池も導入して、工場内に新しい電力供給とエネルギー管理の体制を構築した。敷地内で1.75MWのメガソーラーも建設する予定だ。

» 2012年10月16日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 徳島事業所のスマートファクトリ。出典:日清紡ホールディングス

 日清紡グループは長期ビジョンで「環境・エネルギーカンパニー」への転換を掲げており、すべての事業活動の重点を環境とエネルギーにシフトすることを宣言している。重要施策のひとつとしてグループ内の工場をスマートファクトリに改良する計画を推進中で、このほど主力の生産拠点である徳島事業所に各種の最新設備を導入した(図1)。

 スマートファクトリへの転換は発電・蓄電・節電の3つの観点で進めていく(図2)。発電設備は太陽光と風力に加えて燃料電池も活用する。蓄電池を含めて各種の設備をエネルギー管理システムで最適制御する一方、直流給電システムを使った損失の少ない電力供給にも取り組む。

図2 スマートファクトリの構成要素。出典:日清紡ホールディングス

 ユニークな試みとして、事業所内に完全密閉型の施設を作り、人工光だけを使ったイチゴの量産化を進めている。気候の影響を受けないため、市場にイチゴが出回らない夏から秋に出荷することが可能になる。このイチゴの栽培にも自家発電による電力を使う。

 今後はメガソーラーも建設する計画だ(図3)。1万500坪の敷地に7840枚の太陽光パネルを設置して、合計出力1.75MW(メガワット)の規模で2013年8月から運転を開始する。すでに日清紡グループは全国各地の工場の屋根などを活用して太陽光発電を開始しており、2012年3月時点で1.13MWの発電設備を保有している。

図3 徳島事業所に建設するメガソーラー。出典:日清紡ホールディングス

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