リニューアルを機に省エネ設備をまとめて投入、10%以上の節電を狙うエネルギー管理

不動産大手の大京は、老朽化した本社ビルのリニューアルに合わせて、LED照明や太陽光発電システム、蓄電池など、省エネに役立つさまざまな機器を投入する。

» 2012年12月14日 09時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 大京本社ビルは1987年の竣工以来、24年が経過している。建物が老朽化しているだけでなく設備の経年劣化が進み、エネルギー効率が悪化していることから、大規模リニューアル工事を進めている。工事は2013年2月に完了する予定だ。

 今回のリニューアル工事では、電力消費量の大幅削減を大きな目標としている。そのためにビル内の設備を入れ替えた(図1)。

図1 大京が本社ビルのリニューアルで新たに導入する機器

 オフィスビルで大きな電力を消費する機器と言えば、照明と空調だ。今回のリニューアルでは、ビル内の照明をすべて蛍光灯からLED照明に交換した。空調機器は、旧式の水冷方式のものから空冷ヒートポンプ方式のものに入れ替えた。さらに、空調効果を高めるために窓ガラスには遮熱フィルムを貼り付けている。

 電力の自給も可能にするために太陽光発電システムと大型のリチウムイオン蓄電池も導入した。リチウムイオン蓄電池は、電力需要が少ない夜間に充電し、ピーク時に放電することでピークシフト/ピークカットに利用することもできる。最大出力は10000Wで、蓄電容量は11kWh。

 蓄電池は太陽光発電パネルが出力する直流の電力を直流のまま蓄電池に充電する機能も持っている。交流に変換する必要がないので、発電した電力を効率良く使える。太陽光発電システムが発電した電力を蓄電池に充電させることを優先させるか、ビル内で消費させるかを設定で選ぶことも可能だ。

 太陽光発電システムとリチウムイオン蓄電池を導入したことで、停電時の備えもできる。災害時はビル1階のエントランス・ホールを緊急災害センターとして機能させる。停電時は蓄電池からの電力はここに限定して供給する。太陽光発電システムとリチウムイオン蓄電池の電力で、数日間にわたって電力を供給できる。

 ちなみにこの事業は国土交通省が募集した「平成24年度 建築物省エネ改修推進事業」の採択を受けており、最大で5000万円の補助を受けられる。このことから、リニューアルによって得られる消費電力量削減効果は10%以上と見積もれる。

 「平成24年度 建築物省エネ改修推進事業」の採択を受ける条件の1つに、建物全体のエネルギー消費量が改修前と比較して10%以上改善できることというものがある。この改善には、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)による機器制御の効果や、太陽光発電システムによる発電効果を計算に入れられないことになっている。

 さらに、建物全体のエネルギー使用量を管理できるようにすることという条件もある。エネルギー管理の徹底を太陽光発電システムの発電効果を考えれば、その節電効果を10%を大きく超えるだろう。

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