石油大手がメガソーラーを競う、コスモと昭和シェルが全国8か所に建設自然エネルギー

エネルギー事業の構造改革を急ぐ石油会社が続々とメガソーラーの建設に乗り出している。最大手のJX日鉱日石エネルギーや2番手の出光興産に続き、3番手のコスモ石油が昭和シェル石油と共同で全国8か所の遊休地にメガソーラーを建設する。発電規模は合計26MWになる。

» 2013年01月18日 17時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 石油大手各社は全国の大きな港の近くに製油所などを保有しているが、最近は不要になる設備が多く遊休地が増えて、膨大な不良資産になりつつある。そうした遊休地にメガソーラーなどの大規模な発電設備を建設して収益化する動きが加速している。

 コスモ石油と昭和シェル石油は日本政策投資銀行と共同で新会社「CSDソーラー(仮称)」を1月末に設立して、遊休地を活用した太陽光発電事業を開始する計画だ。対象になる遊休地は横浜市にある「扇島石油基地跡地」のほか、コスモ石油の油槽所跡地など合計8か所にのぼる。

 8か所のメガソーラーを合わせると26MW(メガワット)の発電規模になる見込み。2013年春から建設に着手して、2013年末から順次稼働を開始する予定だ。太陽光パネルには昭和シェル石油の子会社であるソーラーフロンティアの製品を採用する。

 コスモ石油は他の石油大手各社と同様に、再生可能エネルギーによる発電事業を重点施策のひとつに掲げている。すでに子会社を通じて風力発電を開始しているが、今後は太陽光発電にも取り組む計画で、全国に数多くある油槽所の跡地を主な対象にする方針だ。

 油槽所は製油所で生産されたガソリンなどを配送前に一時的に貯蔵するための施設だが、最近は製油所からガソリンスタンドへ直送するシステムが発達して不要になってきた。今回の計画では茨城県日立市、福井県坂井市、徳島県板野郡、大分県大分市の4か所にある油槽所の跡地がメガソーラーの建設予定地に含まれている。

図1 メガソーラー建設予定地に隣接する天然ガス発電所「扇島パワーステーション」。出典:東京ガス、昭和シェル石油

 このほかに建設予定地になっている扇島石油基地跡地は東京湾に面した京浜工業地帯にあり、周辺には石油会社やガス会社の大規模な設備や大型の火力発電所が集積している。現時点で日本最大のメガソーラーである東京電力の扇島太陽光発電所や、東京ガスと昭和シェル石油が共同で運営する最新鋭の天然ガス火力発電所「扇島パワーステーション」(図1)が近隣で稼働中だ。

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