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» 2013年01月29日 09時00分 UPDATE

日本列島エネルギー改造計画(31)鳥取:砂丘を中心に広がる風力と太陽光、大規模プロジェクトが続々と開始

鳥取県と言えば、日本海に沿って広がる美しい砂丘が有名だ。広大な砂丘には大規模な風力発電所があり、海岸線を西に行けば日本最大級のメガソーラーが建設中である。小水力やバイオマスを含めて再生可能エネルギーを10年間で倍増させる計画が進む。

[石田雅也,スマートジャパン]
sakyu.jpg 図1 鳥取の砂丘に見られる「風紋」。出典:鳥取県未来づくり推進局

 鳥取の砂丘は風が作り出す「風紋」の美しさで知られる(図1)。一定の方向から安定した風が吹くことによってできる風紋は、この一帯が風力発電に向いていることを示している。

 県内には「鳥取砂丘」と「北条砂丘」の2つの大きな砂丘があって、このうち北条砂丘では2005年から大規模な風力発電所が稼働中だ。地元の北栄町が国の支援を受けて建設した「北条砂丘風力発電所」で、9基の大型風車によって13.5MW(メガワット)の発電能力を発揮する(図2)。

hojo_wind.jpg 図2 北条砂丘風力発電所。出典:北栄町役場

 このほかにも同規模の風力発電所が県内2か所にあり、さらに規模の大きい風力発電所の建設計画がいくつか検討されている。その中には北条砂丘に近い洋上に風力発電所を建設するプロジェクトもあり、良好な風況を生かした再生可能エネルギーの取り組みが広がってきた。

 ただし風力発電の場合には周辺の環境に対する影響が懸念されるため、県を含めて自治体の調整能力が重要になってくる。観光名所の砂丘の近くでは景観も気になるところだ。風力に限らず太陽光発電所を建設する場合にも地元の理解を得ることが必要で、再生可能エネルギーの拡大に向けた大きな課題である。

ranking_tottori.jpg 図3 鳥取県の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 これまでは環境や景観に対する影響の少ない小水力発電の導入量が最も多く(図3)、県の企業局が中心になって小水力発電の拡大に取り組んできた。

 一方で民間企業によるバイオマスを活用した大規模な発電設備もあり、中でも王子製紙の米子工場が有名だ。古紙やプラスチックなどの廃棄物を燃料にして、実に119MWの電力を供給できる能力を備えている。

 とは言っても今後さらに再生可能エネルギーを増やしていくには、ポテンシャルの大きい太陽光発電と風力発電に取り組むことが不可欠になってきた。

 鳥取県は2020年までに再生可能エネルギーの導入量を2010年と比べて倍増させる目標を掲げていて、その中で太陽光発電を30倍に、風力発電を3倍以上の規模に拡大する方針である(図4)。

energy_map.jpg 図4 鳥取県における主な再生可能エネルギーの取り組み(2011年3月末時点)。出典:鳥取県生活環境部

 目標を達成するためには、新たに太陽光発電所と風力発電所を県内に数多く建設する必要がある。すでに米子市では、日本で最大級のメガソーラーの建設が2013年1月から始まった。ソフトバンクグループと三井物産が共同で事業化を進める「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」である。

 島根県との県境にある中海に面した50万平方メートル以上の広大な土地に、39.5MWの太陽光発電所を建設する計画だ(図5)。現時点で日本最大の扇島太陽光発電所(13MW)と比べて3倍の規模になる。2013年末までに運転を開始する予定で、その時点で日本最大の太陽光発電所になる可能性が大きい。

tottoriyonago.jpg 図5 ソフトバンク鳥取米子ソーラーパークの建設予定地。出典:SBエナジー、三井物産

 このメガソーラーの建設用地は鳥取県と米子市が工業団地や住宅団地を開発するために保有していたものだが、いずれの計画も進まないまま空き地になっていた。メガソーラーの建設によって、県と市は地域の再開発と同時に賃貸料を得ることができるようになる。

 県内には自治体や企業が活用できていない広い土地が数多く残っている。2020年の目標達成には、よりいっそうメガソーラーや風力発電所の誘致に力を入れていく必要がある。環境保全とエネルギー供給の両立を目指す取り組みが今後も続いていく。

2014年版(31)鳥取:「太陽光と小水力に続いてバイオマスも、森と緑の産業が息づく地域に」

2013年版(31)鳥取:「中国山地から広がる小水力発電、日本海には巨大な太陽光と洋上風力」

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