b.30億円
10MW(メガワット)の風力発電所を建設するためには30億円の費用がかかる。ちなみに現時点で日本最大の風力発電所は、島根県にある「新出雲ウインドファーム」の78MWである。30億円の7.8倍として、建設費は234億円になる計算だ。
固定価格買取制度を開始するにあたって、資源エネルギー庁が再生可能エネルギーの電源別に標準的な建設費を算出した。風力の場合は出力が20kW以上の大規模な設備で1kWあたり30万円かかる。それでも事業者に利益がもたらされるような買取価格が設定されている。あとは強い風が安定して吹きさえすれば、20年以内には確実に利益が得られるはずである。
念のため、1年間にどのくらいの売電収入になるかを計算してみよう。20kW以上の風力発電の買取価格は税抜で22円/kWhである。風力発電所を建設する条件として、平均風速が6メートル/秒以上になることが望ましいとされている。その場合の設備利用率(出力に対する実際の発電量)は20%程度だ。
年間の売電収入=10000kW×20%×22円/kWh×24時間×365日=3億8544万円
これに対して費用は30億円の建設費のほかに、運転維持費が年間に6000円/kWかかる。
買取期間20年の費用=30億円+10000kW×6000円/kW×20年=42億円
買取期間20年の収入=3億8544万円×20年=77億880万円
ということで、計算上は十分に採算がとれるようになっている。もし平均風速が5メートル/秒になると、設備利用率は15%程度に下がり、収入は4分の3の57億8160万円になる。それでも20年間に約15億円の利益が出る。
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