60年前に運転開始した水力発電所、設備を改修して発電能力が300kW増加電力供給サービス

全国で水力発電所の設備を増強する動きが広がっている。北陸電力は福井県で60年前から運転を続けている「五条方発電所」の設備を改修したところ、発電能力が300kW増えたことを確認した。過去3年間に同様の改修を10か所で実施しており、合計2000kW以上を増加させた。

» 2013年03月19日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 北陸電力の「五条方(ごじょうほう)発電所」は福井県の南部にあって、九頭竜川の支流である真名川からの水を引き込んで発電する。運転を開始したのは60年前の1953年で、2台の発電機を使って1万7500kWの電力を供給してきた(図1)。

 このほど老朽化した設備を改修して性能確認試験を実施した結果、従来よりも300kW増えて1万7800kWに能力が向上した。年間の発電量では40万kWhの増加になり、一般家庭110世帯分に相当する。 

図1 五条方発電所(左)と水車(右)。出典:北陸電力

 北陸電力は3年前から水力発電所の改修に相次いで着手しており、五条方発電所は過去3年間で10か所目にあたる。10か所を合計すると発電能力の増加は2690kW、年間発電量では1240万kWhになり、3400世帯分の電力使用量に相当する規模である。

 五条方発電所がある福井県は原子力発電所が集積していることでも話題を集めている。日本海沿いにある原子力発電所が大規模な設備で大量の電力を供給する一方で、山間部の水力発電所が規模は小さいながらも自然エネルギーを最大限に活用できるようになってきた。

 北陸電力は富山県でも27年ぶりに新しい水力発電所の建設計画を進めている。川と谷の高低差を利用した小水力発電によるもので、4400kWの発電を可能にする。2016年度に運転を開始する予定だ。

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