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» 2013年03月22日 07時00分 UPDATE

スマートシティ:広がる「市民共同発電所」、岩手県の被災地で48kWの建設計画

企業や自治体によるメガソーラーの建設が拡大する一方で、市民の共同出資による小規模な太陽光発電プロジェクトが増えてきた。東日本大震災で被災した岩手県の野田村では、木工品の工房が中心になって「市民共同発電所」を建設する取り組みが始まっている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 野田村は岩手県の北東部にあって太平洋に面している。震災で津波の被害を受けた地域で、村を挙げて2015年度までに復興を成し遂げる計画を進めているところだ。復興を目指す取り組みの中に、市民の共同出資方式による太陽光発電プロジェクトがある。地元で木工品を作る「だらすこ工房」のメンバーが中心になって、48kWの太陽光発電所を建設する計画を推進している。

 「野田村だらすこ市民共同発電所」は村内に限らず広く市民や企業からの出資を募る。1口10万円で総額1890万円を集めて発電所を建設する計画だ。発電した電力を東北電力に売電して、利益を出資者に還元する仕組みである。

 募集時の計画では、出資額の1%に相当する1000円を14年間にわたって配当することを目標にしている。配当は現金ではなくて野田村の物産品で受け取ることもできる(図1)。出資は5月中旬まで募集する予定だ。

nodamura.jpg 図1 「野田村だらすこ市民共同発電所」の市民ファンドの仕組み。出典:太陽光発電所ネットワーク

 出資金が集まって発電所を建設した後は、14年間の運用を想定している。計画通りに運用を完了できたら、出資者に対して出資金を返還すると同時に、発電設備を野田村に寄贈することを決めている。固定価格買取制度では20年間の買取が保証されるため、残りの6年間の売電収入は村の収益になる想定だ。

 野田村の市民共同発電所をサポートしているのはNPO法人の「太陽光発電所ネットワーク」で、全国各地で8つの市民共同発電所の建設・運営を支援している(図2)。すでに静岡県の伊豆の国市では55kWの太陽光発電所が2012年の夏から運転を開始した。

shimin.jpg 図2 市民共同発電所のプロジェクト例(進行中を含む)。出典:太陽光発電所ネットワーク

 同様に市民の出資によって発電所を建設・運営する取り組みとしては、長野県の飯田市で2004年から始まった「おひさまエネルギーファンド」が知られている。再生可能エネルギーの拡大には、環境への影響を含めて地元住民の理解とサポートが不可欠である。市民の出資による発電所が健全な運営方法で全国に広がっていくことは、再生可能エネルギーの普及を促進するうえで大きな意味を持つ。

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