地熱発電で400万kWを増設するインドネシア、九電と伊藤忠が参加自然エネルギー

日本政府は地熱発電の技術開発に十分な力を入れてこなかった。このため、国内では新規開発能力が必ずしも高くない。九州電力と伊藤忠商事が参画するインドネシアのプロジェクトは技術水準維持のためにも役立つ。

» 2013年04月08日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 地熱発電は立地こそ選ぶものの、天候などに左右されない再生可能エネルギーの優等生だ。24時間365日連続して利用でき、出力変動が少ない。このため、現在、原子力発電や石炭火力発電が担っている電力のベース供給力に向いている。国内でも九州電力の八丁原発電所(出力11万2000kW)をはじめ、17カ所で運転中だ。

 しかし成長著しい太陽光発電や風力発電とは異なり、10年以上、国内では地熱発電の設備容量がほとんど増えていない。これでは技術水準の維持にも支障を来す。

図1 建設予定地。出典:九州電力

 九州電力と伊藤忠商事は海外の2社と協同でインドネシアに出力約33万kW(約11万kWを3基)の地熱発電所を建設する(図1)。2014年に着工し、2016年以降、順次営業運転を開始する予定だ。

 九州電力と伊藤忠商事、インドネシアPT Medco Power Indonesia、米Ormat Technologiesの4社は、共同出資会社Sarulla Operationsなどを通じて、インドネシア国有石油会社の子会社であるプルタミナ地熱との間で2014年4月4日、売電契約を締結した。単一の開発契約としては世界最大規模の地熱独立系発電事業者(IPP)事業であるという。

 発電所の建設予定地は、スマトラ島北部のサルーラ地区だ(図1)。プルタミナ地熱が保有する地熱鉱区内に建設し、30年間、インドネシア国有電力会社に売電する。

 なお、インドネシアは世界最大の地熱資源保有国である。インドネシア政府は第2次1000万kW電源増強プログラムを計画しており、そのうち約4割(400万kW)を地熱発電で実現する方針だ。今回のサルーラ地熱プロジェクトはこのプログラムに沿った事業であるという。

 地熱資源保有国の第3位である日本でも同様のプログラムが進むことを期待したい。

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