電力の見える化に欠かせない「分電盤」キーワード解説

家庭や店舗、オフィスビルや工場にも「分電盤」は設置されている。電線から送られてくる電力を空調や照明などの電気機器に分配する装置だが、最近は節電対策でも重要な役割を果たすようになってきた。電力の利用状況を「見える化」するためには分電盤を利用する方法が一般的だ。

» 2013年05月24日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電力を使い過ぎて、家の中の電気が一斉に消えてしまった経験は誰にもあるだろう。廊下などの天井に近いところにブレーカ(遮断器)が設置されていて、スイッチを引き上げれば再び電気がつく。このブレーカが入っている装置全体が「分電盤(ぶんでんばん)」である。

 最近の家庭用の分電盤は見た目にもわかりやすく作られている(図1)。メインのブレーカのほかに、電気機器の種類やフロア/部屋ごとにスイッチで電力供給をオン/オフできるものが標準的だ。オフィスビルや工場などに設置されている分電盤は家庭用と比べると規模が格段に大きくなるが、基本的な仕組みは変わらない。

図1 家庭用の分電盤の構成と役割。出典:沖縄電力

 分電盤の中には各機器や各フロアに電力を配分するための分岐回路が組み込まれていて、内部は数多くのケーブルでつながっている。このケーブルにセンサーを取り付ければ、電力の使用量を測定できる。機器の種類別やビルのフロア別のスイッチにつながるケーブルにセンサーを取り付けると、それぞれの機器やフロアの電力使用量を測定することが可能になる。

 家庭やオフィスで電力の利用状況を「見える化」する場合には、このように分電盤にセンサーを設置する方法が広く採用されている(図2)。ほかには電源コンセントにセンサーを設置する方法もある。電力を測定する機器の数やセンサーの設置のしやすさによって適した方法を選ぶのが望ましい。

図2 分電盤を活用したエネルギー管理システムの構成例。出典:NTT

 分電盤の設置や改修は「電気工事士」などの資格をもった技術者が対応しなくてはならない。家庭とオフィスビルでは契約電力の大きさが違うため、分電盤のような電気設備を取り扱ううえで必要な資格にも差がある点に注意したい。家庭の設備は「第二種電気工事士」、オフィスビルの多くは「第一種電気工事士」の資格が必要になる。

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