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» 2013年06月10日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:Googleがフィンランドで工夫するデータセンター、冷却と電力調達に特徴あり

Googleのデータセンターに対する取り組みは一貫したものだ。常に2つの目標を掲げ、達成している。1つは消費電力を低減し、PUEを1.0に近づけるというもの。もう1つは電力源に再生可能エネルギーを使うというものだ。フィンランドの「ハミナデータセンター」の取り組みを紹介する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 米Googleはこれまで約10億米ドル(約2GW分)を再生可能エネルギー関連のプロジェクトに投資してきた。なぜだろうか。同社の説明によれば理由は2つある。

 保有する多数の巨大データセンターに大量の電力が必要なことが第1の理由だ。化石燃料から得られる電力は二酸化炭素(CO2)の排出量が多い上に、料金が長期的に見て上昇する、Googleはこう予測している。そこでCO2排出量が少ない上に料金が上昇しない、さらには下降していく再生可能エネルギーに頼ろうとしている。もう1つは長期的な投資先として再生可能エネルギーが魅力的だからだ。再生可能エネルギーへの投資は電気料金が上昇していくペースを和らげる働きももつ。

 Googleは北欧のフィンランドにデータセンターを置いている。「ハミナ(Hamina)データセンター」だ(図1)。このデータセンターには2つの特徴がある。1つ目は冷却手法、2つ目は2013年6月に同社が発表した電力の入手法だ。

yh20130610Google_datacenter_550px.jpg 図1 フィンランドのハミナデータセンター。ハミナ市はフィンランド最南部、ロシア国境から30kmほどの海沿いにある。首都ヘルシンキとロシアの文化都市サンクトペテルブルグのほぼ中間にある。出典:Google

 ハミナはGoogleのデータセンターでも最も先進的で最も効率が高いのだという。しかし、1から設計、建設した建物で高効率を実現したのではない。ハミナの建屋は1950年代に建設された製紙工場そのままだ。図1からでも工場の面影がうかがわれる。これを2009年にGoogleが購入した。建物の基礎や上物は製紙工場時代のもの。

 重要なのは製紙工場から受け継いだもう1つの施設だ。データセンターの建物はフィンランド湾に面しており、製紙工場時代には海水を工場内に引くトンネルが使われていた。この海水トンネルを再利用した。海水を熱交換器に通し、サーバを冷却している。一般的なコンプレッサと冷媒の組み合わせではない。低コストで高効率な冷却手法なのだという。

再生可能エネルギーを使いたいが電力源がない

 第2の特徴は国際的な再生可能エネルギーの「融通」を同社として欧州で初めて利用したデータセンターであることだ。直接、再生可能エネルギー源をデータセンターに取り付けるのではなく、融通によって実現している。

 欧州はどのような方式で発電された電力かを区別できるよう、「GoO(Guarantee of Origin certification、電力源証明)」という手法を国ごとに制定するようEU指令で取り決めている。ノルウェーとスウェーデン、フィンランド、デンマークは、「Nord Pool」という地域内の電力現物市場を1991年に設立しており、Nord Pool内ではGoOを利用することで、再生可能エネルギーを利用した電力を指定して購入できる。GoogleによればこのNord Poolがハミナの役に立った。Googleは再生可能エネルギーを利用したい。しかし、ハミナから近い位置には電力源がない。そこでNord Poolを利用したという形だ。

 スウェーデンはフィンランドの西隣の隣国。スウェーデンのO2はスウェーデン国内に30カ所以上の風力発電所を運営、計画する企業だ。O2は、スウェーデン最北部ノールボッテン県に出力72MWの風力発電所を建設する計画について政府から承認を受けたばかりだ。建設地点はフィンランド国境から30kmほどの北極圏である。少数民族サーミ人の村Korpilomboloから10kmほど離れたMaevaara地区が建設予定地である。Maevaaraはハミナから800kmほど離れた立地だ。

 O2には風力発電所を計画・設計する能力があり、グループ内には機器の製造会社もある。しかし、資金に課題があった。出力3MWの中出力風車を24基据え付けなければならない。

 Googleが2013年6月に公表したのは、この課題を解決する枠組みだ。資金はドイツの保険会社Allianzが出し、発電所を所有する。2015年初頭に発電所が運転を開始後、Googleがハミナのために電力を買い取る(図2)。同社が結んだこの種の協定では4番目に買取期間が長く、欧州では初めてのことだという。

 図2には緑色で示したように風力発電所から得られたGoO付きの電力をGoogleが購入し、系統を通じて送電(赤丸)、ハミナデータセンターで電力を消費してGoOを消尽する(青色)という流れが描かれている。

yh20130610Google_location_550px.jpg 図2 スウェーデンの風力発電所とフィンランドのデータセンターの関係。出典:Google

 Googleは今回の協定についてメリットが2つあるという。これは冒頭に紹介した理由とほぼ同じだ。消費電力に占める再生可能エネルギーの比率をなるべく高め、さらに再生可能エネルギーのプロジェクト自体に弾みを付けること。加えて長期的な投資先を育てるという意味ももつ。O2はMaevaara地区に、さらに12基の風車を取り付ける計画を立てている。今回の協定はこの計画を資金面からも助けることになるはずだ。

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