早くも電力が厳しい九州、卸市場から28万kWを緊急調達電力供給サービス

7月1日から始まる節電期間の前週にもかかわらず、九州で電力の需給状況が厳しくなっている。今週26日(水)には需給率が94.5%まで上昇する見通しだ。九州電力は一時的に供給力を高めるために、今夏から始まった「夏季広域融通入札市場」で28万kWを調達した。

» 2013年06月24日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 6月中旬に関西と九州で需給率が95%を突破したのに続いて、きょう6月24日(月)から再び九州で95%に近づく状況になっている。週の半ばまでは供給力の増加が間に合わず、26日(水)には需給率が94.5%に達する見通しだ(図1)。26日の最高気温を29.5度と予想したもので、気温が30度を超えれば95%を突破する可能性もある。

図1 6月24日〜28日の需給状況。出典:九州電力

 九州電力は緊急対策として他の電力会社から融通を受けるほか、日本卸電力取引所を通じて一般企業からも電力を調達する。通常のスポット取引に加えて、今夏に創設された「夏季広域融通入札市場」の第1号案件として28万kWの調達を決めた。24日〜28日の供給力の内訳を見ると、他社からの受電が全体の約25%を占める異例の事態になっている(図2)。

図2 6月24日〜28日の供給力の内訳(単位:万kW)。出典:九州電力

 ただし本来の供給力があれば、まだ余裕をもって対応できる水準の需要に過ぎず、電力会社の見通しが甘いとも言える。九州電力が4月に発表した7月と8月の需給予測では、供給力を1660万kW前後で見込んでいる(図3)。それと比べて現在は約300万kWも少ない。

図3 今夏の需給予測(単位:万kW)。出典:九州電力

 すでに先週18日(火)には最大電力が1326万kWを記録して、需給率が95.2%まで上昇していた。26日の予想最大電力は1290万kWで18日よりも少なく、十分に想定できる範囲だ。このところ電力会社は燃料費を抑えるために火力発電の供給力を抑えているが、もっと予測の精度を高めて供給力を調整する必要がある。

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