もともと東北電力の単価は他の地域と比べて低かったが、9月から実施する値上げによって最も高いレベルになってしまう。値上げに合わせて夏季のデマンドレスポンスに対応した割引制度を導入するほか、企業向けに休日の単価を安くしたオプションメニューも提供している。
東北電力が実施する値上げの影響は企業向けのほうが大きい。標準的な高圧のメニューを利用した場合で15%以上の値上げ率になる。
値上げ前の単価は北陸電力と並んで全国で最も安かったが、値上げ後は東京電力に近づき高いレベルに仲間入りしまう。家庭向けで標準的な「従量電灯B」のモデルケースで月額330円、商店向けの「低圧電力」では686円の増額になる(図1)。
企業向けの標準的なメニューでは季節別の単価を設定している。7月〜9月の「夏季」の単価は、10月〜6月の「その他季」と比べて7〜10%ほど高い(図2)。夏の電力使用量を抑えることが電気料金を引き下げるための鉄則である。
東北電力は企業向けに数多くのオプションメニューを用意している。特に高圧のオプションは13種類もある。北海道電力と同じように休日の単価を安くした「業務用ウィークエンド電力」のほか、「融雪用電力」は通電時間の違いなどで4種類に分かれる(図3)。オプションメニューの単価は公表していないため、電力会社に問い合わせて確認する必要がある。
値上げに合わせて新しいメニューも用意した。企業向けに「需要抑制通告契約」を開始する。聞きようによっては“高圧的”なネーミングだが、内容は「デマンドレスポンス」による割引制度だ。電力需要が増える7月〜9月の13時〜16時の時間帯を対象に、電力会社からの通告(要請)に応じて使用量を通常よりも少なく抑えると、料金の割引を受けることができる(図4)。
需要を抑制する期間は契約電力が500kW以上の「高圧大口」の場合には日ごとに通告があり、500kW未満の「高圧小口」では週単位の通告になる。特定の時間帯の電力使用量を制御する必要があるため、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)やデマンドコントローラを導入していることが条件である。
連載(7):「北海道電力のメニュー」
連載(9):「東京電力のメニュー」
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