北海道電力のメニュー 「企業向けに休日割引」知らないと損する電気料金の仕組み(7)

冬の電力使用量が多い北海道では、季節による料金の設定方法が他の地域と違う。企業向けのメニューは夏と冬の単価が同じで、その代わりに休日を安く設定したプランがある。家庭向けには冬の夕方の単価を高くして夜間を安くしたピーク抑制型のプランに特徴がある。

» 2013年06月20日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

連載(1):「基本料金を安くする対策」

 各電力会社が企業向けに提供している契約メニューを見ると、電力量料金の単価は「夏季(7月〜9月)」と「その他季(10月〜6月)」の2本立てになっていて、夏季のほうが1割ほど単価は高い。唯一の例外が北海道だ。

 北海道電力の標準的な契約メニューは家庭・商店向けから大規模ビル向けまで、季節に関係なく年間を通じて単価が変わらない(図1)。このため使用量が多くなる冬の対策が重要だ。

図1 用途別の標準的なメニューと料金

商業施設に有利な「ウイークエンド電力」

 冬の料金が安くならない代わりに、休日の単価を引き下げたプランがある。他の地域でも家庭・商店向けには休日割引プランを用意しているが、企業向けの高圧で休日割引を実施しているケースは少ない。

 北海道電力が提供する「業務用ウイークエンド電力」は、通常のメニュー(業務用電力)と比べて基本料金を高く設定する代わりに、電力量料金の単価を低くする。平日でも通常より安くて、さらに休日(土曜日、日曜日、祝日、ゴールデンウイーク、年末年始)はもっと安くなる(図2)。ただし割引した単価を公表していないので、使用条件を含めて電力会社に問い合わせる必要がある。

図2 「業務用ウイークエンド電力」の料金イメージと適した業種。出典:北海道電力

 基本料金は契約電力で決まり、電力量料金は使用量に比例することから、契約電力が低くて使用量が多い場合に有利になるメニューだ。北海道電力によると、休日の使用比率が22%を上回るかどうかが目安になる。1週間のうち休日を2日間として、毎日同じ量の電力を使うと休日の比率は28%を占める。休日に営業するデパートやスーパーなどの商業施設には電気料金を引き下げられる可能性が大いにありそうだ。

家庭向けに夜間の単価を3分の1に

 家庭向けのメニューでは、季節と時間帯によって単価を細かく設定したプランがある。「ドリーム8エコ」と呼ぶメニューで、ピーク電力を抑えることを目的にしたものだ。12月〜3月を「冬期間」として、電力需要が最大になる夕方の16時〜18時の単価が通常の2倍程度に高くなる。昼間の7時〜23時は5%ほど高く、夜間の23時〜7時は年間を通して3分の1に下がる(図3)。

図3 「ドリーム8エコ」(ピーク抑制型時間帯別電灯)の料金。出典:北海道電力

 夕方を含めて昼間に外出することが多い家庭であれば、電気料金が大幅に安くなる可能性がある。ただし気をつけなくてはならない点は、4月〜11月の「その他期間」には昼間の単価が通常と比べて2割も高くなることだ。年間を通して7時〜23時の使用量が少ない場合に有利なメニューと言える。

寒冷地ならではの「融雪用電力」

 このほかに北海道と東北には「融雪用電力」という寒冷地に特有のメニューがある(図4)。道路の雪を融かす設備などに使うことを想定しているが、一般の暖房機器に利用しても構わない。ただし契約電力は低圧と同様の50kW未満に限られる。

 北海道では電力需要が多い16時〜21時に電力を使わない時間を設定すると、基本料金と電力量料金の両方が大幅に安くなる。融雪を含めて深夜や早朝に電力を使う用途に向いている。使用量が多いプランを選んだ場合には、通常と比べて単価が半分以下になる。

図4 融雪用電力「ホットタイム」の適用イメージ。出典:北海道電力

連載(8):「東北電力のメニュー」

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