メガソーラーの接続問題は全国で解消へ、事業者は工事費を負担法制度・規制

7月23日から全国の電力会社で太陽光発電設備の接続問題が大幅に解消することになった。これまで制限されていた変電所における「バンク逆潮流」の対策を講じることにより、電力会社は接続条件を緩和する。ただし発電事業者は変電所の対策に必要な工事費の負担金を求められる。

» 2013年07月25日 14時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 発電の出力が天候によって変動するメガソーラーを電力会社の送配電ネットワークに接続する問題で、資源エネルギー庁が新たな対策を公表した。これを受けて全国の10電力会社は7月23日から接続条件を緩和するのと合わせて、対策に必要な工事費を発電事業者に請求することが認められた。

図1 バンク逆潮流対策の工事費負担金

 各電力会社が発表した工事費負担金の単価を比較すると約3倍の開きがある(図1)。最高は東北・中部・中国電力の3社で、発電設備の最大出力1kWあたり3465円の負担金を事業者に請求する。1MW(メガワット)のメガソーラーで負担金は346万5000円になる。負担金が最も安いのは九州電力の1260円である。

 今後は発電設備を送配電ネットワークに接続するための「連系協議」の場で、対策の必要性を判断して、必要な場合は事業者が負担金を支払うことになる。ただしメガソーラーの建設費と比較して負担金の割合は小さく、事業に対する影響は小さいとみられる。

 資源エネルギー庁の調査では、メガソーラーの建設費は2012年末の時点で出力1kWあたり28万円になっている。負担金の最高額3465円でも建設費の1%強にとどまる。事業者にとってはメガソーラーを建設できる場所が増えるメリットのほうが大きいだろう。

 従来はメガソーラーのような大規模な発電設備から送られる電力によって変電所に逆向きの電流(バンク逆潮流)が生じることを禁止していた(図2)。2012年7月に始まった固定価格買取制度によってメガソーラーの建設プロジェクトが急増したことで、バンク逆潮流による規制を見直す必要性が浮上した。

図2 太陽光発電の出力増加に伴う逆潮流と電圧上昇抑制対策。出典:東京電力

 資源エネルギー庁はバンク逆潮流が生じても送配電ネットワークに支障をきたさないように対策を講じれば問題がないことを確認して、2013年5月に制限を緩和した。電力会社は変電所の工事費を事業者に請求できることの認可を待って、7月23日から接続条件を緩和することにしたものである。

*7月23日付の記事「増加するメガソーラーの接続問題を解消、東京電力が変電所を機能強化」において、東京電力が先行して対策を実施したと報じましたが、実際には10電力会社すべてで同様の対策が可能になっていたことが資源エネルギー庁の発表によって判明しました。

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