現代の風力発電システムの典型的な姿を紹介しよう。主に使われているのは風車(ローター)がひまわりのように水平方向を向いている水平軸風車だ。
地面の近くでは抵抗を受けて、風速が落ち、風の向きも乱れる。このため、50〜100mのタワーを建設し、その先端にナセル(筐体)を載せ、ナセルの正面にローターを取り付ける。ナセルは修理のために人が立ち入れるほど大きい。
ローターは3枚のガラス繊維強化プラスチック製のブレードを組み合わせたものが主流だ。3枚のブレードが合わさる中心にはハブがあり、ハブ内部にはブレードの角度を変える機構が組み込まれている(図2)。風速によってブレードを長軸周りにわずかに回転させ、効率を高める仕組みだ。
ナセル内部にはローターの回転を受け、回転数を高めるギア「増速機」があり、増速機に発電機がつながっている。ローターの回転速度は毎分15回転程度。これを増速機で毎分1500回転(1800回転のものもある)に高めてから誘導発電機を動かす。最後に変圧器で電圧を高めてから系統に接続する。
現代の風力発電では、風のエネルギーのうち、約40%を電気エネルギーに変換できる。最大の損失(50%)はローターで生じる。それでも理論上限まであと10ポイント以下にまで迫っていることになる。増速機の損失は4%、発電機の損失は6%である。現在は増速機と発電機の損失を低減する技術開発が続いている。
連載第3回:「なぜなぜ火力発電と地熱発電」 8月14日掲載予定
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