世界の適地で洋上風力、住友商事が北海で381MWのプロジェクトに参加自然エネルギー

洋上風力発電は、海底の地形と風の状態に依存する。ヨーロッパの北に広がる北海はこの2つの条件を満たす。住友商事は、ベルギー企業のプロジェクトに出資し、共同で洋上風力発電事業に取り組む。

» 2013年07月22日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 2025年までに風力発電は現在の4倍に成長し、そのうち10%が洋上風力となる――住友商事が洋上風力発電事業に参入する理由だ。

図1 ベルギー沖の風力発電設備。出典:住友商事

 2013年7月、同社と欧州住友商事はベルギー沖の風力発電に参画するため、2つの風力発電プロジェクトの事業会社株式の一部を共同で取得した(図1)。契約相手はベルギーのParkwind*1)

*1) 持ち株比率はBelwind 1が39.0%、Northwindが33.3%。Parkwindはベルギーの有力なスーパーマーケットチェーンを傘下に持つ流通事業者Colruyt(ホルホイト)グループなど3社からなるベルギーの洋上風力事業者。

 北海は、ヨーロッパ諸国に囲まれた海だ。面積は日本の国土面積のちょうど2倍。特徴は大部分が大陸棚上にあり、平均水深が95mと浅いことだ。つまり、洋上に構造物を作りやすい。加えて年間を通じて偏西風の影響下にある。この2つの理由から洋上風力発電に適した立地だ。

 北海の西にはイギリスがあり特に洋上風力に力を入れている。東のノルウェー、デンマーク、南のドイツ、オランダ、ベルギーも洋上風力に取り組んでいる。特に風力発電に適した部分には「鉱区」が設定されている。ベルギー沖にもそのような鉱区があり、10以上のプロジェクトが順次進んでいる。

図2 ベルギー沖の「鉱区」の様子。出典:住友商事

 住友商事が契約したプロジェクトもこの鉱区に含まれており、「Belwind 1」(165MW)と「Northwind」(216MW)と呼ばれている(図2)。Belwind 1は総事業費850億円のプロジェクトで、既に2010年から運転を開始している。Northwindは総事業費が約1200億円で、現在建設中だ。

 どちらも北海の立地を生かした設備だ。Belwind 1はベルギーから46kmも沖合にあるが、水深は20〜32mと浅い。Northwindも同様だ。沖合37kmにあり、16〜32m。従って海底に直接固定した形式の風力発電施設を比較的容易に建設可能であり、どちらも着床式モノパイル基礎を利用している。発電タービンは世界最大規模のメーカーであるデンマークVestas Wind Systemsの製品を用いる。売電先はベルギーの電力会社Electrabel。

 住友商事は既に陸上の風力発電事業で524MWを確保している。同社は再生可能エネルギーの開発に熱心であり、風力発電を合わせて6129MWの発電容量をそろえた。

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