連載
» 2013年09月10日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2013年版(24)三重:高原一帯に90基を超える大型風車、干拓地や住宅地には巨大メガソーラー

三重県で大規模な発電所の建設プロジェクトが目白押しだ。50基以上の大型風車が稼働する青山高原で40基を増設する計画が進む一方、広大な干拓地や住宅地で巨大なメガソーラーの建設が始まっている。いずれも3年以内に運転を開始する予定で、再生可能エネルギーが一気に拡大する。

[石田雅也,スマートジャパン]
aoyamakogen1.jpg 図1 青山高原の位置。出典:青山高原ウィンドファーム

 国内で風力発電設備が最も多く集まっている場所は青森県の六ヶ所村だが、それに次ぐ規模で拡大を続けているのが三重県の青山高原である(図1)。津市から伊賀市にかけて広がる高原一帯に、50基を超える大型風車が設置されている。発電能力は72MW(メガワット)になり、年間の発電量は一般家庭で5万世帯分の使用量に匹敵する。

 ただし、その中で最大の「ウインドパーク笠取」は2013年4月に風車の落下事故を起こして以降、全面復旧までに時間がかかっている。事故の原因が判明して徐々に運転を再開しているが、復旧には2013年いっぱいかかる見通しである。

 風力発電の安全面に不安があるものの、将来に向けて新しい風力発電所の建設計画がある。現在20基で稼働中の「青山高原ウィンドファーム」で大規模な増設プロジェクトが進行中だ(図2)。

aoyamakogen2.jpg 図2 「青山高原ウィンドファーム」の全景。出典:青山高原ウィンドファーム

 高原内の隣接する場所に2MWの大型風車を一挙に40基も増設する。既存の設備と合わせて95MWの規模になり、島根県にある「新出雲ウインドファーム」(78MW)を上回って日本で最大の風力発電所になる。新設する40基のうち18基は2015年度に、残り22基は2016年度に運転を開始する予定である。

 この増設計画が完了すると、青山高原全体の風力発電の規模は現在の2倍以上になり、六ヶ所村を超えて日本一の集積地になることは確実だ。風車の落下事故を乗り越えて、再び拡大路線を突き進むことができるか注目が集まる。

 三重県の再生可能エネルギーの導入量を見ると、すでに風力発電が小水力を抜いて最大になった(図3)。まだ全国では15番目だが、ベスト10に入る日も遠くないだろう。

ranking2013_mie.jpg 図3 三重県の再生可能エネルギー供給量。出典:千葉大学倉阪研究室、環境エネルギー政策研究所

 同様に急速に増えているのが太陽光発電である。隣り合う愛知県が全国でトップを走っているが、三重県も日照時間の長さでは負けていない。最近になって広大な土地に大規模なメガソーラーを建設するプロジェクトが相次いで始まっている。

 伊勢湾をはさんで愛知県と対面する津市では、大手鉄鋼グループのJFEエンジニアリングが2013年7月に、主力の生産拠点である津製作所の構内で3MWの「雲出(くもず)メガソーラー」を稼働させた(図4)。JFEグループが全国に保有する遊休地に展開するメガソーラープロジェクトの第1弾である。

kumozu.jpg 図4 「雲出メガソーラー」の全景。出典:JFEエンジニアリング

 さらに愛知県との県境にある干拓地でも大規模なメガソーラーの建設計画が進んでいる。木曽川の河口付近に造成された「木曽岬干拓地」の78万平方メートルに及ぶ空き地に、49MWのメガソーラーを建設する(図5)。

 総合商社の丸紅が三重県から土地を賃借して、2015年1月から運転を開始する予定だ。年間の発電量は5200万kWhを見込み、一般家庭で1万5000世帯分の電力を供給することができる。建設には地元の事業者を活用することが条件になっていて、約1年半の建設期間中にピーク時で300人の雇用を想定している。地域の産業振興を兼ねた一大プロジェクトになる。

kisomisaki.jpg 図5 「木曽岬干拓地」のメガソーラー建設予定地。出典:三重県雇用経済部

 一方で内陸部でも、住宅地域にある広い空き地にメガソーラーが誕生する。大手鉄道会社の近畿日本鉄道が伊賀市の「ゆめが丘住宅地」に所有する23万平方メートルの土地に、15MWの発電設備を建設する計画だ(図6)。2014年9月から運転を開始する。

 近畿日本鉄道もJFEグループと同様に、自社で所有する遊休地を最大限に活用してメガソーラーを拡大する方針を打ち出している。その一環で志摩半島にあるテーマパーク「志摩スペイン村」の敷地内にも、2MWのメガソーラーを2013年9月から稼働させる。

kintestu_megasolar.jpg 図6 「ゆめが丘住宅地」(左)と「志摩スペイン村」(右)のメガソーラー建設予定地。出典:近畿日本鉄道

 三重県が2012年度に策定した「新エネルギービジョン」では、2020年度までに再生可能エネルギーを大幅に拡大する目標を掲げている。最大の規模になるのは太陽光発電で、2010年度の8倍に相当する536MWを目指す。その時点で風力発電の245MWを2倍以上も上回る。

*電子ブックレット「エネルギー列島2013年版 −北陸・中部編−」をダウンロード

2015年版(24)三重:「大型風車65基を高原に新設、街には太陽光とバイオマス」

2014年版(24)三重:「湾岸一帯にメガソーラーの建設ラッシュ、地域に貢献する電源が広がる」

2012年版(24)三重:「木質バイオマスで先行、風力や太陽光も大規模に進む」

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.