ガス料金は値下げへ、東京ガスが12月から家庭向けで2%電力供給サービス

電気料金の値上げが相次ぐ中、ガス料金は逆に値下げへ向かう。最大手の東京ガスが12月10日から家庭向けの料金を平均2.1%引き下げる。主力のエネルギー源を電気からガスへ移行する家庭や企業が増えており、さらに勢いを加速させる狙いだ。企業向けにコージェネ用の割引プランを新設する。

» 2013年11月01日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 ガス料金は電気料金と違って届出制のため、東京ガスが国に申請した通りの内容で新料金を適用できる。12月10日に改定するのは家庭を中心にした小口部門の料金で、標準的な使用量の家庭の場合に値下げ率は2.04%になる(図1)。さらにガスを使って電力と熱を供給する燃料電池方式のコージェネレーションシステム「エネファーム」の料金は2.49%も下がる。

図1 家庭向けの料金改定例。出典:東京ガス

 原料のLNG(液化天然ガス)の輸入価格は過去10年間で2倍以上に値上がりしたが、国内のガス料金は横ばいに抑えられてきた。特に東日本大震災後は電力からガスへ移行する家庭や企業が増えたことで事業効率が高まり、値下げの余力が生まれたものとみられる。一方でLNGの価格上昇によって値上げを余儀なくされた電力会社とは対照的だ。

コージェネ割引で電力会社に攻勢

 ガス料金の計算方法は電気料金とほとんど同じである。基本料金のほかに、使用量に応じて従量料金を加算する(図2)。

図2 ガス料金の計算方法。出典:東京ガス

 ただし基本料金も月間の使用量によって変動する点が電気料金と違う。電気料金の場合は使用量に関係なく基本料金は固定で、その代わりに使用量が増えるにつれて従量料金の単価が3段階で上がっていく。ガス料金は使用量が増えると基本料金も上がる代わりに、従量料金の単価は下がる仕組みになっている。

 東京ガスは12月10日から基本料金・従量料金ともに改定する(図3)。月間の使用量によっては単価が高くなる部分もあるが、基本料金と従量料金を組み合わせた総額は必ず安くなるように設定した。

図3 家庭向け標準契約の料金改定。出典:東京ガス

 今回は企業向けの料金は改定しないまま、新しい割引プランを導入する。年間の使用量が多い場合に適用できるもので、その1つが「コージェネレーションシステムパッケージ契約」である。企業向けの標準契約(産業用A契約)と比べて、従量料金の単価が安くなる(図4)。

 コージェネの発電規模によって「第1種」(25kW以上)〜「第3種」(3〜15kW)に分かれていて、発電規模が最も大きい第1種の場合には標準契約よりも単価が1割くらい安くなる。ガスを使って電力を供給できるコージェネ向けの割安なプランを用意することで、電気料金との価格差をアピールする狙いがある。

図4 企業向け標準契約と新パッケージの単価。出典:東京ガス

 東京ガスに追随する形で、他のガス会社も料金を改定する可能性が大きい。電力会社にとっては、ますます厳しい価格競争を迫られることになる。

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