古墳とメガソーラー、群馬で共存を図る自然エネルギー

200m以上の大きさの古墳は国内に37基あり、大阪府と奈良県に集中している。群馬県には東国で唯一、このクラスの古墳があり、100m級以上の古墳の数でも全国4位だ。全国初の「古墳群内メガソーラー」が群馬県太田市で完成した背景にはこのような理由があった。

» 2013年11月25日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 群馬県太田市と発電所の位置

 群馬県には古墳が多く見られる。東日本最大の前方後円墳「太田天神山古墳」(群馬県太田市)は5世紀に築かれたものであり、墳丘長は210mもある。同市内にはさまざまな規模の古墳が多数、点在している。

 その一方で、太田市は「太陽光発電推進のまち おおた」を宣言しており、自治体単独としては初の「おおた太陽光発電所」(出力1.5MW)の運転を2012年7月に開始している。

 2013年11月にJFEエンンジニアリングとJFEテクノスが完成を発表した「おおた鶴生田町太陽光発電所」(出力1.5MW)は太田市が運営する3番目のメガソーラー*1)だ(図1)。計画時から古墳の保存が課題となり、工法を工夫することで、「全国初の古墳群内に完成したメガソーラー」(JFEエンジニアリング)となった(図2)。

 同発電所は耕作放棄地となっていた約2万7600m2の土地の上に建設、土地は太田市が集約したものだ。敷地内には直径10数mの円墳が10カ所弱点在していたため、これを避けるようにコンクリートの基礎部分を配置。さらに架台のフレームを切断してCIS薄膜太陽電池モジュール(出力160W)を9600枚設置した。想定年間発電量は約166万kWhであり、固定価格買取制度(FIT)を利用して全量を東京電力に売電する。

*1) 太田市のメガソーラーは、3カ所ある。2カ所目は2013年7月に完成した「おおた緑町太陽光発電所」(出力1MW)。カインズ太田流通センターの屋根を利用した。

図2 おおた鶴生田町太陽光発電所の外観。出典:JFEエンジニアリング

 おおた鶴生田町太陽光発電所にはもう1つ工夫がある。市の初期負担額を少なくするためにリース方式を採ったことだ。発電所の事業主は太田市、施設の所有は東京センチュリーリースであり、JFEテクノスが東京センチュリーリースに対して設計・調達・建設(EPC)の契約を2013年1月に締結、建設に着手した形だ。

 JFEエンジニアリンググループが太田市のメガソーラー計画に参加したのは、おおた太陽光発電所に次いで今回が2回目である。グループとして2013年10月末までに全国14カ所の太陽光発電所を完成しており、2015年度末までに300MWを目指すとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.