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» 2013年12月19日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:バイオガスで発電・売電、下水処理の焼却コストが1億円以上の収益に変わる

下水を処理する過程で発生するバイオガスの多くは、これまで焼却処分されてきた。いま新たに全国各地の自治体が再生可能エネルギーの1つとして取り組みを開始した。特に積極的なのが栃木県で、県内7カ所にある浄化センターでバイオガスを活用した発電設備の導入を進めている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 栃木県は7カ所の浄化センターのうち4カ所で、バイオガスによる発電設備の導入計画を同時に展開する。北西部の下水を処理する「鬼怒川上流浄化センター」(図1)のほか、北東部の「北那須浄化センター」、南部の「巴波川浄化センター」と「県央浄化センター」が対象になる。

 すでに県央浄化センターの発電設備は設計を完了して、固定価格買取制度の認定を受けた。そのほかの3カ所は設計・施工を入札方式で12月25日まで公募中だ。4カ所のいずれも2015年3月までに工事を完了して発電を開始する計画である。建設費は合計で最大16億6400万円を見込んでいる。

kinugawa1_sj.jpg 図1 「鬼怒川上流浄化センター」の全景(左)と水処理施設(右)。出典:栃木県県土整備部

 下水を処理するとバイオガスが膨大に発生する。まず浄化センターに集められた下水は沈殿を経て、微生物などを使った浄化の後に、海や川に戻されるのが一般的だ。この過程で沈殿物として大量の汚泥が生じる。汚泥に含まれる有機物を分解するとガスが発生して、それを焼却することで汚泥の量を減らすことができる。

 生物由来のバイオガスだが、従来は汚泥を分解する際の加温に利用しているだけで、余った分は焼却処理している。この貴重なバイオガスを使って発電すれば、焼却処理のコストが不要になるばかりか、固定価格買取制度を利用して新たな収益を生み出すことが可能になる。

 下水処理の過程で発生するバイオガスの約6割はメタンガスで、これが発電用の燃料の主成分になる。栃木県が浄化センターに導入する設備は発電装置のほかに、バイオガスの純度を高めるための前処理装置、発電で生じる熱の回収装置などを含む(図2)。

kinugawa3_sj.jpg 図2 バイオガス発電設備の構成(鬼怒川上流浄化センターの場合)。出典:栃木県県土整備部

 4カ所の浄化センターで発生するバイオガスの量は年々増加傾向にあり、2012年度の合計で約370万立方メートルにのぼる。発生量が最も多い県央浄化センターでは130万立方メートルのバイオガスを使って、年間に252万kWhの発電量を想定している。売電収入は年間1億円強になり、6400万円程度の利益を生む見込みだ。残る3カ所の発電量は未定だが、県央浄化センターと同程度の発電効率が期待できる。

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