観光地として人気が高い沖縄・石垣島で、貴重な自然環境を守るための「エコアイランド構想」が着々と進んでいる。新たに電気駆動の船舶を実用化する取り組みが始まった。マリンレジャー用に「電気推進船(EV船)」を普及させて、沖縄が抱える石油依存の問題解決を図る。
美しい沖縄の海を疾走する船舶の大半は重油を燃料にしている。世界有数のサンゴ礁に囲まれた石垣島でもマリンレジャーの人気は高く、観光産業と自然保護の両立が大きな課題だ。
2013年6月にスタートした「石垣市エコアイランド構想」では再生可能エネルギーの導入促進を最大のテーマに掲げ、重点施策の1つに「陸上電源基地とEV 船の運用技術の実証事業」を加えた。電気自動車と同様に、石油ではなく電力で動く「電気推進船(EV船)」を開発・普及させることが目的である。
バンダイナムコグループを中心に新しいコンセプトのEV船を開発して、マリンレジャーに利用する日本初の海上実験プロジェクトが動き出した。全長20メートルほどの双胴船(カタマラン)で、船体をアルミニウム合金で造ることによって軽量化とリサイクルを可能にする(図1)。
EV船に搭載する蓄電池の容量や航続距離などの性能は具体的になっていないが、拠点になる石垣港に陸上電源基地を建設することが決まっている。この基地には大型の蓄電池を設置する予定で、EV船の充電に利用するほか、台風などの災害時には周辺地域に電力を供給する役割も担う。
沖縄県はエネルギーの多くを石油に依存していて、石垣島でも電力や自動車・船舶はほぼ100%が石油である(図2)。環境負荷の小さい再生可能エネルギーを拡大してクリーンな電力を増やすのと並行して、電気自動車やEV船を導入して利用面でもエコアイランド構想を推進していく。
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