1日400トンの鶏ふんでバイオマス発電、岩手の畜産会社が60億円かけて自然エネルギー

東北最大の農業法人である十文字チキンカンパニーが、鶏ふんを燃料に使ったバイオマス発電事業に取り組む。総投資額60億円をかけて、発電能力が6.25MW(メガワット)の設備を岩手県内に建設する計画だ。2015年12月に運転を開始して、4.8MW分の電力を固定価格買取制度で売却する。

» 2014年03月28日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 十文字チキンカンパニーは岩手県内で鶏の飼育生産から鶏肉加工販売までを手がけるインテグレータ形式の事業を展開している。従来から大量に排出する鶏のふんを発酵プラントや炭化プラントで肥料にリサイクルする取り組みを続けてきた(図1)。新たに鶏ふんを燃料にしてバイオマス発電事業を開始する。

図1 鶏ふんを肥料や燃料に加工するプラント。出典:十文字チキンカンパニー

 岩手県の北部にある軽米町に「十文字チキンカンパニーバイオマス発電所」を建設する計画で、2014年5月に着工する。複数の種類のバイオマス燃料を混焼できる「流動床式燃焼水管ボイラー」を設置して、蒸気を発生させてタービンで発電する方式になる。発電能力6.25MW(メガワット)で2015年12月に運転を開始する予定だ。

 発電所の中で利用する電力を除いた4.8MW分を売電する。バイオマス発電は再生可能エネルギーの中では最も効率が高く、年間を通じて80%程度の電力を供給することができる。出力4.8MWで年間の発電量は3000万kWhを超える。

 固形燃料によるバイオマス発電の買取価格は1kWhあたり17円(税抜き)に設定されていて、年間の売電収入は5億円以上になる見込みだ。十文字チキンカンパニーは発電事業の総投資額60億円のうち25億円を、農林中央金庫などによる協調融資で調達する。

 畜産事業では大量のふんの処理が課題になっている。新設するバイオマス発電所では提携農場からも鶏ふんを収集して、1日に400トンを燃料として利用できるようにする。燃焼後の灰は引き続き肥料としてリサイクルする方針だ。

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