洋上風力18基の建設プロジェクト、茨城県の沖合で海底地盤調査へ自然エネルギー

商用の洋上風力発電では日本で初めての大規模な開発プロジェクトが動き出した。茨城県・鹿島港の沖合600〜1800メートルの海域に18基の発電設備を建設する計画で、20億円かけて事前調査を実施する。海底の地盤などを調べたうえで工事に入り、2017年度の運転開始を目指す。

» 2014年04月08日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 このプロジェクトは茨城県が鹿島港の港湾区域を対象に推進する事業で、ウィンド・パワー・エナジーと丸紅の2社が発電事業者に確定している(図1)。2社の合計で50基の大型風車を建設して、250MW(メガワット)の発電能力を発揮する国内で最大規模の風力発電事業になる。

図1 「鹿島港洋上風力発電事業」の予定区域。出典:茨城県土木部

 発電設備は2017年度から順次稼働する予定で、そのうち第1期分の開発計画が進み始めた。ウィンド・パワー・エナジーは第1期に建設する18基(1基あたり5MW)の発電設備を、鹿島港の護岸から沖合600〜1800メートルの海域に3列で建設することを構想中だ(図2)。

図2 洋上風力発電所の完成イメージ。出典:グリーンファイナンス推進機構

 18基の合計で発電能力は90MWを想定している。年間の発電量は2億kWhを見込んでいて、一般家庭で5万5000世帯分に相当する。国内で稼働中の風力発電所では島根県の陸上にある「新出雲風力発電所」の78MWが最大で、ウィンド・パワー・エナジーの第1期だけでこの規模を上回る。

 日本で初めての大規模な洋上風力発電プロジェクトになることから、建設開始前の調査段階で20億円を投じる。対象海域の風況調査や海底の地盤調査などを実施したうえで発電設備の建設計画を策定する。運転開始は2017年度になる見通しで、巨額が予想される建設費は改めてプロジェクトファイナンス方式で調達する方針だ。

 事前調査にかかる20億円のうち5億円は、環境省が実施する「地域低炭素化出資事業基金」からグリーンファイナンス推進機構が拠出する(図3)。残る15億円はソフトバンクグループのSBエナジーと、ウィンド・パワー・エナジーを運営する小松崎グループが出資することになっている。

図3 開発ステージの事業スキーム。出典:グリーンファイナンス推進機構

 すでに小松崎グループは鹿島港の沿岸で「ウィンド・パワーかみす第1・第2洋上風力発電所」を稼働させている(図4)。合計15基(1基あたり2MW)の発電設備を鹿島港の護岸から50メートル程度の近距離に設置したもので、その実績を生かして沖合にも大規模な洋上風力発電設備を展開していく。

図4 「ウィンド・パワーかみす第2洋上風力発電所」。先に見えるのが「第1洋上風力発電所」。出典:小松崎都市開発

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