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» 2014年04月10日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:船舶の排熱から電力、燃料費を2%以上改善可能

神戸製鋼と旭海運は、船舶用のバイナリー発電システムの開発に乗り出す。燃料費と二酸化炭素排出量を改善することが目的だ。2016年度にも実船搭載を目指す。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 「船舶を運行する場合、変動費の大半は燃料費である。これをたとえ1%でも削減できる技術が強く望まれている」(神戸製鋼)。

 同社は船舶のエンジンが排出する熱に注目した。排熱のうち、高温蒸気は一部利用が進んでいる。無駄になっているのは150度以下の排熱だ。そこで、この温度帯の熱源から電力を取り出すことが可能な「舶用バイナリー発電システム」の開発に乗り出す。

 生み出した電力を船舶動力の補助電源として使うことにより、使用燃料と排出する二酸化炭素(CO2)をそれぞれ2.6〜2.9%削減することが目標だ*1)。二酸化炭素の削減も重要だ。2013年1月から、船舶エネルギー効率改善計画を船上保持することが義務付けられており、二酸化炭素排出量を管理しなければならないからだ。

*1) 今回の開発は、国土交通省の「次世代海洋環境技術開発支援事業」と、日本海事協会の共同研究テーマの両方に採択されている。国土交通省からは事業費の3分の1の補助を受ける。国土交通省の支援事業に採択される条件の1つは使用燃料を2%以上削減できることだ。

 旭海運との共同開発の形を採り、2015年度中に開発を完了。2016年度中の実船搭載を目指す。旭海運はオーストラリア産の石炭を神戸製鋼の加古川製鉄所に運ぶためのバルク船「旭丸」を保有している(図1)。この旭丸へシステムを搭載する。

yh20140410Kobelco_Asahimaru_472px.jpg 図1 石炭運搬用のバルク船「旭丸」。7万3914重量トン(MT)、全長225m 出典:神戸製鋼

 システムの開発期間は比較的短い。これはバイナリー発電機自体を既に神戸製鋼が製品化しているからだ(図2)。「当社が2009年に販売を開始したマイクロバイナリー発電機は、工場排熱や地熱など一定の『出力』がある熱源を対象としている。船舶の出力は運行パターンによって変化する。このため、発電機自体のハードウェアを一から開発するというよりも、変動出力に対応するシステム構築が開発の主眼だ」(同社)。

 神戸製鋼が舶用バイナリー発電機を開発、改善し、旭海運が、発電機を搭載し、システム全体の構築にも取り組む。

 「完成したシステムは代理店方式で既存船や新造船向けに販売する。舶用バイナリー発電システムの市場規模ははっきりしないものの、(冒頭の発言のように)需要は大きい。当社以外も一斉に開発に乗り出している」(神戸製鋼)。大型船の一般的な装備となる日も近そうだ。

yh20130729Kobelco_BP_400px.jpg 図2 神戸製鋼のバイナリー発電機「MB-125S」。110〜130度の水蒸気を利用する。2m角程度と小さい 出典:神戸製鋼

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