里芋と小松菜を栽培しながら太陽光発電、岐阜県の農地でソーラーシェアリング開始自然エネルギー

岐阜県で初の「営農型太陽光発電設備」が5月から運転を開始した。農地に支柱を立てて、農作物の栽培を続けながら上部の空間に太陽光発電設備を設置する。500枚の太陽光パネルを使って、年間の売電収入は220万円を見込む。「ソーラーシェアリング」とも呼ばれる新しい農業経営が始まる。

» 2014年05月21日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 岐阜県の各務原市(かがみはらし)は広大な濃尾平野の北部にあって、農業が盛んな地域である。市内の一角にある2300平方メートルの畑を使って、岐阜県で初めてのソーラーシェアリングが始まった。

 畑に支柱を立てて、上部の空間に細長い形の太陽光パネルを設置する(図1)。遮光率は30%程度にとどまるため、従来通り畑で農作物を栽培することが可能だ。この畑では里芋や小松菜を栽培している。

図1 営農型の太陽光発電設備(岐阜県各務原市の畑)。出典:野田建設

 出力100ワットの太陽光パネル504枚を設置して、合計で50.4kWの発電規模になる。年間の発電量は6万1000kWhを見込んでいる。2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用すると、年間の売電収入は220万円になる。20年間にわたって中部電力に売電する予定で、累計で4400万円の収入を得ることができる。

 一般に農地は平坦で日当たりの良い場所が多く、太陽光発電に適している。ただし農地法によって用途が厳しく制限されているため、転用には都道府県知事の許可が必要になる。農林水産省は農地における太陽光発電の増加をにらんで、2013年3月に「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」と題する新たな指針を発表した。

 発電に転用する期間を3年以内(更新は可能)としたほか、単位面積あたりの農作物の収穫量が平年と比べて2割以上減らないこと、などを条件にしている。あくまでも農業に支障を及ぼさない範囲で太陽光発電を認める方針を打ち出した。これを受けて全国各地でソーラーシェアリングの導入が始まっている。

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