商用車に「リーフ」の技術を盛り込み、走る蓄電池をうたう電気自動車(2/2 ページ)

» 2014年06月11日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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走る蓄電池とは?

 電気自動車は大量のバッテリーを搭載しているため、車内にコンセントが欲しいという声があった。e-NV200では、前席側と荷室側にそれぞれ1つずつコンセントを設けており、合計1500Wの電力を利用可能だ(図4)。e-NV200のパワースイッチがオフ状態になっている場合でも動作する。

図4 2カ所にある車内コンセント インストルメントパネル下部(図右下)、2列目の助手席シート背面 出典:日産自動車

 必要以上にバッテリーの電力を使いすぎることを防ぐために、バッテリー残量計(12目盛り)のうち、2目盛りは常に残す設定となっている他、充電パーセントと連動した自動停止機能も設けている(図5)。

図5 バッテリー残量計と残量制限の表示 出典:日産自動車

 満充電時から1000Wで使い続けた場合、連続で最大約13時間の利用が可能である(2目盛りを残した場合)。1500Wなら同条件で約9時間である*4)

 なお、充電に要する時間は、バッテリー残量警告灯が表示された状態から80%充電まで、急速充電を利用すると約30分である。普通充電を利用すると約8時間(200V)、または約28時間(100V)だ。

*4) 日産自動車によれば、使用する製品の定格電力が1500W以内であっても使用できない場合があるという。例えば、電動工具の起動時には一時的に大きな電流が流れるため、1500Wを超過する可能性がある。こうなるとコンセント側で保護機能が働いて遮断されてしまう。

ストレスフリーを求めた車体

 同社がいうストレスフリーには3つの意味がある。運転時のストレス、車内空間が狭いことによるストレス、空調のストレスだ。

 バッテリーをフロア下、車体中央に配置することで重心を低く保ち、コーナー時のぐらつき感を少なくした。サスペンションを高剛性化したことで、ショック吸収性能を高めた。重心の低さと剛性により、ステアリング操作を行ってから実際に車が反応するまでの時間を短くすることができたという(図6)。

図6 操縦安定性の高さ ショック吸収性能(上段)、コーナー時の性能(下段) 出典:日産自動車

 e-NV200は最新型のリーフと同じモーターを使っているため、モーターの最高出力(80kW)や最大トルク(254Nm)は同等だ。ただし、商用車に向く性能を発揮できるよう、最終減速比をリーフの8.194から9.301に変更している。これは荷物を積み重くなった場合でも発進時の加速を保つための改良だ。その代わり、最高時速はリーフの144km/hから120km/h以上へと下がった。

 e-NV200の荷室容量は3600L(リットル)。これはNV200バネットと同等だ。荷室フロアの長さは1830mm(バンタイプ5人乗り仕様で2人乗車時)。一間(いっけん)サイズの合板(1820×910×24mm)を水平に積むことができる。バンタイプ2人乗り仕様なら、メーターモジュール材(2000×100×44mm)の積載も可能だ(図7)。最大積載量は500〜600kg。

図7 バンGX(2人乗り仕様)の荷室空間 出典:日産自動車

 空調も工夫した。ドアのロックボタン、アンロックバタンに加えて、インテリジェントキーに「乗る前エアコン」ボタンを追加している。車外からエアコンの入り切りができる。充電ケーブルが接続されていれば、エアコンの電力は外部から供給されるため、内蔵バッテリーの容量が減ることはない。

【更新履歴】 本文2ページ目に注4を追加しました。(2014年7月24日)

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