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» 2014年07月24日 16時20分 UPDATE

補助金:エネルギー分野などで起業家を支援、NEDOが事業開始

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、エネルギー分野など製造業系を対象とした「研究開発型ベンチャー支援事業」(研究開発型ベンチャー支援プラットフォーム)を開始した。人件費や活動費を最大2年間支援する他、事業化に必要な技術やビジネスモデルに関する助言を受けられる。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、エネルギー分野など製造業系を対象とした「研究開発型ベンチャー支援事業」(研究開発型ベンチャー支援プラットフォーム)を開始した。人件費や活動費を最大2年間支援する他、事業化に必要な技術やビジネスモデルに関する助言を受けられる仕組みだ。第1回の公募の締め切りは2014年8月15日*1)

 採択予定件数は定めていないものの、事業規模は5億以内(2014年度)であり、提案内容が優れていれば、複数のグループが支援の対象となる。

*1) 公募URLは、https://www.bizreach.jp/content/executive/nedo/
 NEDOは「起業家候補(スタートアップイノベーター)募集(研究開発型ベンチャー支援事業の実施に係る公募について)」と題する資料を2014年8月18日に公開した(リンク)。応募の前提となる説明会を全国で実施する。

ベンチャー企業が不足している製造業

yh20140724NEDO_MrTakeo_250px.jpg 図1 経済産業省の武雄伸隆氏

 「日本には(隠れた)技術が十分あるものの、それが事業化にうまくつながっていない。この2つをつなぐ橋渡し役が必要だ」(経済産業省産業技術環境局技術振興課課長補佐の武尾伸隆氏、図1)。

 ビジネスリスクをとって新事業に挑戦するベンチャーの起業に課題があるということだ。ベンチャーの起業はIT分野では成功事例も多く、取り組みが進んでいる。しかし、製造業分野では遅れが目立つ。これはベンチャーの創出や成長に必要な「エコシステム」がないためだという。

 エコシステムの中核を成すのが、資金を提供するベンチャーキャピタルであり、技術だけでなくビジネスプランを磨くために必要な「指導者」だ。技術とビジネスモデルのマッチングにも支援が必要だという。

 そこで、起業家候補や事業開始前の既存のベンチャーを対象に、NEDOが支援する仕組みを立ち上げた。原子力にかかわるものを除く、経済産業省所管の鉱工業技術を扱う個人や数人のチームを対象とする*2)。エネルギーや材料、バイオ、電子・電機などが中核となる。ソフトウェア開発だけを進める起業家は対象外だ。

*2) NEDOがエネルギー分野などで多数実施する共同研究や委託事業では、既に活動している企業のみが対象となっている。新たな支援事業を立ち上げた理由の1つがこれだ。対象として主に大企業からのカーブアウトや大学の研究者やポストドクターなどを想定している。

まずは資金を受けられる

 NEDOプラットフォーム事業に申し込むと、まず書類選考とプレゼンテーション、事業カタライザー*3)との面談によって、スクリーニングを受ける*4)。事業カタライザーはインキュベーターや企業家、ベンチャーキャピタリストなどからなる*5)。中核技術を持っており、ある程度の市場規模が見込めるビジネスプランがあれば、支援を受けられるという。

*3) カタライザーはもともと物質同士の反応速度を高める「触媒」を意味する術語。ここでは世話役という意味で使っている。
*4) 審査内容は大きく2つ、技術評価と事業化評価だ。技術評価では実験データなど基礎的な検討が十分に行われており、商品開発に関する優位性のある特許やノウハウを保有しているか、利用できることを審査する。事業化評価では市場創出効果や市場ニーズ、製品やサービスの優位性、事業化計画を審査する
*5) NEDOは2014年7月18日に決定した事業カタライザー39人のリストを公開した(リンク)。

 支援の内容はさまざまだ。まずは資金である。1人当たり年間650万円程度の人件費や1チーム当たり年間1500万円以内の活動費の支給を最大2年間受けられる。試作品製作や市場調査などに必要な当座の資金を確保できる形だ。「現在の仕事を続けながら兼任の形でベンチャー企業を立ち上げるのでは、条件として厳しい。仕事にとらわれることなくベンチャーの起業に専念できるようにしたい」(武尾氏)。

 簡易オフィスも利用できる。NEDO本部(川崎市幸区)の1フロアにインキュベーションスペースを設けて、電話や郵便、事務機器を利用できるようにする。

事業化や技術へのアドバイスあり

 資金を得た後、事業カタライザーや、産業技術総合研究所(AIST)の研究者や技術コンサルタントからなる技術カタライザー*6)、弁護士や弁理士が担う専門カタライザーの助言を受けて、ビジネスプランや資金計画を固めていく。試作品の設計なども可能だ(図2)。

*6) 対象となるベンチャー候補に対して、中核技術の技術課題解決のための助言を得られる他、技術者や共同研究先の紹介やあっせん、不足している補助的な技術とのマッチングなどを受けられる。

yh20140724NEDO_earlier_590px.png 図2 起業家候補人材を育成支援する仕組み(クリックで拡大) 出典:経済産業省

 こうして事業化のめどがある程度付いた後、ベンチャー企業として成立するかどうか、再度スクリーニング(ステージゲート)を受ける。最後に多数のベンチャーキャピタルや大企業の関係者の前でプレゼンテーションを行う場を設ける。起業後の出資を受けやすくする取り組みだ。

 「公募を通過したチームだけでは企業化に至らない場合も考えられる。例えば技術シーズに偏っている場合だ。そのような場合は外部の経営者とのチームづくりも手助けする」「実際に企業の設立に至る割合は1割程度ではないかと考えている。だが、世界市場で『ここしかない』というメガベンチャーを育てることができればと考えている」(武尾氏)。

既存ベンチャーも支援する

 NEDOの事業は全くの新規ベンチャーだけを対象とするのではなく、中小・中堅の既存ベンチャー企業を対象とした支援策もある。既存ベンチャー企業は、既に事業活動中であるため、資金的な支援はない。しかし、事業カタライザーや技術カタライザー、専門カタライザーの支援を受けることができる(図3)。ビジネスプランを練り直す役に立つ他、技術面の指導を受けることもできる。支援回数は最大5回程度だ。出資を募りやすくするためのプレゼンテーションの場も用意する。

yh20140724NEDO_already_590px.png 図3 既存ベンチャー企業を支援する仕組み(クリックで拡大) 出典:経済産業省

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