世界最大級2MWの蓄電池評価施設、大阪へ発電・蓄電機器

電力系統安定化や再生可能エネルギーの大量導入に備えた大容量蓄電池の開発が進んでいる。製品評価技術基盤機構(NITE)はこのような大容量蓄電池の試験・評価が可能な施設を大阪市に構築、2016年4月の完成を予定する。

» 2014年07月28日 11時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 大阪市住之江区と施設の位置

 製品評価技術基盤機構(NITE)は2014年7月、大阪市咲洲コスモスクエア地区(住之江区南港北)に世界最大級の大型蓄電池の試験・評価施設を立ち上げると発表した(図1)。

 「小型の蓄電池を試験・評価できる設備は、蓄電池メーカーなどに備わっているため、新施設では対象としない。当機構の設備の特徴はいわゆるコンテナサイズの大型蓄電池を測定できることだ。出力2MW、容量2MWhまで対応する」(NITE)。

 電池の試験・評価には大きく分けて、性能試験と安全性試験がある。「新設する施設では安全性を中心に試験する。例えば、高温時の過充電の影響を調べる。この他、施設用に導入する2MW相当の蓄電池システムを使って、ピークカット用途で重視される寿命などを測定する予定だ」(NITE)。

133億円を投入

図2 施設の詳細位置

 「現在は設計施工を担当する鹿島建設と建屋などに必要な性能を打ち合わせている。2015年1月以降に着工し、2016年2月29日に完成、その後、完成検査を進め、2016年4月以降に人員・設備を移転し、開場する予定だ」(NITE)。

 既に大阪府と面積約2万6400m2の土地(図2)の売買契約を締結し、主試験室・副試験室(平屋)と、管理棟兼実験棟(4階建)*1)を建造する(図3)。「主試験室・副試験室は大型蓄電池専用の施設だ」(NITE)。

*1) 管理棟兼実験棟ではNITEの事業である「消費生活用製品安全法等に基づく製品事故の原因究明等の業務」を行う試験・評価施設も導入する。

図3 施設の完成予想図。左手前が主試験室・副試験室 出典:NITE

 今回の事業に関する総事業費は133億円。経済産業省の2013年度補正予算「グローバル認証基盤整備事業(大型蓄電池システムの性能・安全性の試験評価拠点整備)」が85億円、現在の合同庁舎(中央区谷町、約100人)からの移転費用が48億円である。総事業費には測定機器類の費用が全て含まれている。「大型蓄電池を測定するため、個別の測定装置を導入するというよりも、施設と一体に整備するためだ」(NITE)。

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