電気自動車に搭載した中古の蓄電池、メガソーラーの隣で出力安定に生かす蓄電・発電機器

大阪湾の埋立地で稼働中のメガソーラーの隣に、大型の蓄電池システムが設置された。内部のリチウムイオン電池は電気自動車の日産リーフ16台から回収して再生したものだ。10MWのメガソーラーが発電する電力の変動分を吸収して、出力を安定させる試みである。

» 2014年02月10日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電気自動車に電力を供給する蓄電池の寿命はさほど長くない。充電回数にもよるが、通常は5〜10年で新品と交換する必要がある。そうした性能の劣化した蓄電池を再利用する取り組みが早くも始まっている。

 日産自動車のリーフ16台分の蓄電池を再利用したシステムが、大阪市の夢洲(ゆめしま)で2月初めに稼働した(図1)。環境省による「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」の認定を受けて、住友商事が設置したものである。電気自動車の蓄電池を再利用した大型システムの実用化は世界で初めての試みだ。

図1 夢洲に設置した蓄電池システムと日産リーフ。出典:住友商事

 蓄電池システムに隣接する広大な敷地には、2013年11月に運転を開始したばかりの「大阪ひかりの森発電所」が広がっている(図2)。発電能力が10MW(メガワット)に達する大規模なメガソーラーで、年間の発電量は一般家庭で3200世帯分に相当する。

図2 夢洲の位置と「大阪ひかりの森発電所」。出典:住友商事ほか

 ただし太陽光発電は天候などの影響で出力が変動するために、電力会社の送配電ネットワークを不安定にする問題が生じる。夢洲に設置した大型の蓄電池システムはメガソーラーからの電力を充電・放電しながら、出力の変動分を吸収することが可能だ。最大0.6MWの電力に対応できる容量がある。10MWのメガソーラーであれば、ピーク時でも6%の変動分まで吸収できる。

 さらに災害時には蓄電池の電力を地域に供給する役割も担う。住友商事は今後3年間の実証事業を通じて、メガソーラーと組み合わせた蓄電池システムの有効性を検証する一方、電気自動車の蓄電池を安全に再利用するための技術を確立していく計画だ。

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