プリウスの使用済み蓄電池を定置型に再利用、4月に発売蓄電・発電機器

住宅やビルに設置する定置型蓄電池として、電気自動車やハイブリッド車で使用済みとなったものを再利用する研究が続いていたが、ついに製品が登場する。トヨタ自動車が、ハイブリッド車「プリウス」の使用済み蓄電池を利用した製品を4月に発売する。

» 2013年01月25日 07時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 トヨタ自動車が4月に発売する定置型蓄電池はハイブリッド車「プリウス」(図1)が搭載しているニッケル水素電池を利用したもの。プリウスの中でも、2003年発売の2代目プリウスから廃車や整備などの事情で取り出した蓄電池を主に利用し、2009年発売の3代目の蓄電池も一部利用する。蓄電容量は10kWhで、価格は300万円前後になる見込みだ。

図1 トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」。写真は2009年発売の3代目。出典:トヨタ自動車

 プリウスから取り出した蓄電池(図2)は、ほとんど形を変えずに箱の中に詰めて、定置型蓄電池とする。定置型蓄電池1台に、10個の使用済み蓄電池を詰め込む。自動車向けの蓄電池とは異なり、定置型蓄電池は大きさや重量の制約が少ないため、回収した蓄電池をほぼそのまま再利用することになった。定置型蓄電池の外形寸法は1900×1140×1280mm(高さ×幅×奥行)で、重量は約980kgとなる予定。

図2 プリウスが内蔵するニッケル水素蓄電池。一部外装を切り取って、中身が見えるようにしている。出典:トヨタ自動車

 トヨタ自動車はこの定置型蓄電池をBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)や太陽光発電システム、LED照明などと組み合わせて、電力消費、蓄電池への充電、放電を制御し、施設のエネルギー消費量を節約するシステムとして販売する計画を立てている。このシステムでは水道やガスの使用量も管理できる。

 その効果はすでにトヨタ自動車が実証済みだ。2012年2月から名古屋トヨペット太田川店などで、今回発売する蓄電池とエネルギー管理システムの効果を確かめる実験を続けていた。ピークカットなどなどの機能を利用することで電気料金やガス料金を、半分に抑えられたという。

 販売店における実験で大きな成果を挙げたことから、トヨタ自動車は定置型蓄電池とBEMSなどのセットを主に販売店に向けて売り込む考えだ。コンビニエンスストアに向けて売り込むことも検討しているという。秋ごろには蓄電容量4kWhの小型製品を発売する計画もある。

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